21年ぶり新王者誕生もポスト鉄人現れず
「陸上・日本選手権兼世界選手権代表選考会」(27日、新潟)
男子ハンマー投げ決勝が行われ、野口裕史(32)=群馬綜合ガード=が、71メートル98で悲願の初優勝を飾った。昨年まで20連覇中だった室伏広治(40)=ミズノ=が欠場し、21年ぶりに新王者が誕生したが、記録的には世界選手権の参加標準記録(76メートル00)に大きく届かず。
野口は「納得いく記録ではない。自分を納得させるために75メートルぐらいは欲しいと思っていた。この記録だと(室伏が)出てなくて良かったと言われる。悔しい」と、唇を噛みしめた。
室伏は今月15日に「後輩たちに大きく伸びてもらいたいという想いから、自らがジャンプ台の役割になれればと日本選手権に出場してきましたが、昨年20連覇を達成し、その役割は果たしたと思います。いつまでも自分が出場し続けることによって後輩が育たないとも感じています」との理由で欠場を表明。
この日の朝には、ツイッターで「本日の日本選手権ハンマー投に出場する皆さん、優勝目指して頑張って下さい!世界選手権の標準記録に少しでも近い記録を!」と後輩たちにハッパを掛けていたが、野口以外は70メートルにも届かず、世界への飛躍を期待させる選手は現れなかった。
ハンマー投げの日本記録は室伏の持つ84メートル86。歴代2位は“アジアの鉄人”と呼ばれた室伏の父重信氏の持つ75メートル96だが、これは1984年の記録だ。いまだ室伏親子の牙城を崩す猛者は現れない。
欠場表明の際には「後に続く若い選手が出てこなければ、いつでも日本選手権に出場したいと思っています。世界で戦える、若い選手が育つことを望んでいます」としていた室伏。野口からは「室伏さんがいないと寂しい。恋人がいないみたい」と、“ラブコール”を送られた。16年リオデジャネイロ五輪の選考会となる来年の日本選手権に、鉄人は出てくるのか?その動向が注目される。