「リアル化」した佐野氏エンブレム炎上

 混迷を極めた2020年東京五輪のエンブレム問題だが、撤回された作品のデザイナー、佐野研二郎氏への行き過ぎた誹謗中傷や、作品への批判の枠を超えた私刑(リンチ)も問題になった。インターネット上の炎上にとどまらなかった今回の騒動を未然に防ぐ手立てはなかったのか。インターネット関係の問題に詳しいジャーナリストの津田大介氏に聞いた。

 -ネット社会から見て、今回の問題・騒動をどう考えるか。

 「五輪のエンブレムそのものについては、デザイン的に似ていると思う部分はあっても、すぐに盗用とはならないのではないかと思います。ベルギーの劇場のエンブレムのデザイナーが訴えるという話があった中で、過去のサントリーのトートバックの問題など、著作権的にアウトと思われる物が出てきて、彼の仕事のスタンスが問題視されてしまったのでしょう」

 -佐野氏は個人情報の“さらし”や家族への中傷を訴えている。

 「従来ならネットの炎上というと、ブログのコメントで批判されて終わり、というものだったのですが、最近はリアルの方にも影響があります」

 「佐野さんの作品そのものへの指摘や批判は、ネット上でもやるべきだと思いますし、STAP細胞の問題の時はそれがきっかけで不正が暴かれました。ただ、佐野さんの関係者への脅迫というような行き過ぎた行為には、ペナルティーが必要ではないかと思いますね」

 -ネット私刑(リンチ)に異を唱える芸能人、文化人も多い。

 「これ以上、個人としての私刑はやるべきでないと思います」

 -大問題になる前に手を打つとしたらどうすれば良かったと思うか。

 「佐野さん本人というよりも、五輪組織委員会の責任が大きいと思います。佐野さんの原案から2回、やり直しをさせた時点で、そのデザインは選ばれたものと違うわけですから。そうした経緯がブラックボックスになってしまいました。デザインの世界では、以前の作品のオマージュやパロディーというものは当たり前にあります。素人から似ていると思っていても、プロだったらこう見る、という視点は当然、あるわけです。似た作品が出てきても大丈夫だと審査員側がオーソライズ(権威付け)をしていくことも一つの手段だと思います」

 -デザインや商標の面から見た対策は何か考えられるか。

 「登録商標を世界レベルで検索する仕組みを作って、チェックするプロを養成するのも一つではないかと思います」

 -佐野氏の作品に批判が集中することについてはどう考えるか。

 「似ている作品があるか、盗作になっていないかについて、一番神経を使わないといけない立場なのでやむを得ないかなと思います」

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