バド山口茜に“ポスト天龍”の期待
バドミントン女子で世界ランク10位の山口茜(18)=福井・勝山高3年=が6日、都内で行われた再春館製薬所の新入団選手発表会に出席した。来年のリオデジャネイロ五輪、20年東京五輪での活躍が期待される中、テレビカメラ約50台、報道陣230人が詰めかけ、「(勝山の)家を出るのは初めてなので、新天地で心機一転、パワーアップした山口茜を見せたい」と意気込んだ。
史上最年少でワールドツアー優勝も果たした山口の原動力は地元愛だ。勝山市への恩返しの年と位置づけた高校ラストイヤーは、五輪レース中にもかかわらず8月の世界選手権出場を辞退し、高校総体に出場。「総体に出て気持ちが整理できた」と思い残すことはなく、来春から熊本に拠点を移し世界の頂点に挑む。
同郷の有名人には、プロレスラーの天龍源一郎(65)がいる。勝山市から大相撲の世界に飛び込み、後にプロレス界入りしたレジェンドは、今年11月15日に引退興行(両国)で若手トップレスラーのオカダカズチカと対戦する。
天龍の引退後、地元出身のスターの後継として、山口にかかる期待は大きい。バドミントンが盛んな勝山市で山口はすでに知られた存在だが、同じく勝山市出身で、来春から指導することになった再春館製薬所の今井彰宏監督(45)も今後の飛躍に大きな期待を寄せる一人だ。
「勝山の有名人だと天龍さんやバレーボールの三屋裕子さん(元全日本女子代表)なんかがいるが、私も地元が好きなので、山口も活躍して続いてほしい。天龍さんのようなハスキーボイスは出ないけど。(山口が)小学5年の頃に初めて会って、地元に戻る度に一緒に練習したりしてきたが、今や日本の宝。五輪で活躍できるように全力でサポートしたい」
相手の必殺技を仕掛けたり、誰もがアッと驚くファイトを繰り広げてきた天龍と同じく、トリッキーなプレースタイルが山口の信条。背面打ちを得意とし、日本代表の奥原希望(日本ユニシス)も「それを取るかって球を拾ってくる」と目を丸くする。この日の入団会見でも山口は「相手を驚かせるトリッキーなプレーが持ち味なので、注目して見てほしい」とアピールした。
日本人で初めてアントニオ猪木とジャイアント馬場からピンフォールを奪った同郷の大先輩のように、来年のリオ五輪では“大物食い”で金メダルを勝ち取り、バドミントン界の“風雲昇り龍”になる。