「体操・世界選手権」（３０日、グラスゴー）

　男子個人総合決勝が行われ、日本の内村航平（２６）＝コナミスポーツク＝が９２・３３２点で、前人未踏の６連覇を達成し、１６年リオデジャネイロ五輪代表に内定した。五輪を含めた世界大会では７連覇。日本が世界に誇る“絶対王者”が衰え知らずの力を見せつけた。２位は１・６３４点差でラルドゥエト（１９）＝キューバ＝。日本の萱和磨（１８）＝順大＝は１０位だった。

　勝利が決まると、カメラに向けて指を１つずつ立てていった。そしてそれが６連覇を示す６本になると、会心のドヤ顔。今年も当たり前のように、内村が頂点に立った。１種目目、得意の床でほぼ完ぺきな演技を見せ、１５・７３３点をマークし、好発進を決めると、２種目目のあん馬で１５・１００点を出し、早くもトップに立った。つり輪ではわずかに１５点に届かない１４・９３３点で、２位に０・０６７点差に迫られたが、圧巻は４種目目の跳馬。８年掛かりで完成させた大技リ・シャオペンを着地まで完ぺきに遂行し、１５・６３３点のハイスコアで突き放した。

　さらに続く平行棒で１５・８３３点。団体戦ではまさかの落下があった最終種目の鉄棒では、Ｇ難度「カッシーナ」を抜いた構成で挑み、完ぺきな演技を披露し、１５・１００点。文句のつけようのない内容で、“打倒内村”を狙う各国の新鋭たちをねじ伏せた。

　２日前の団体戦で悲願の金メダルを獲得。ただ、どこまでも進化を求める“絶対王者”は、満足感とは無縁だった。

　「もうただただ気持ちを全６種目保っておくことだけに集中して、気持ちが切れたところは１つもなかった。アップからスイッチをオンにして、最後の鉄棒までオンにしっぱなしでした。強いていうなら、鉄棒も攻めて、カッシーナも入れてやりたかったが、今回は勝ちにこだわってもいいかなと思った。６連覇は正直自分でも信じられない。でもまだ自分の中で演技に満足してないので、これからも世界の体操界を引っ張っていきたい」。内村の歩む王道はいつまで経っても終わりが見えてこない。