18歳阿部、講道館杯3位でリオ絶望
「柔道・講道館杯全日本体重別選手権」(7日、千葉ポートアリーナ)
男子66キロ級では、昨年最年少制覇を成し遂げ、連覇を狙う阿部一二三(18)=兵庫・神港学園高=が、準々決勝で丸山城志郎(天理大)に優勢負け。敗者復活戦を勝ち上がり3位となったものの、12月のグランドスラム東京大会への出場権を逃し、リオ五輪出場は絶望的となった。
来夏の五輪出場が事実上消滅し、いつもは強気な18歳の頬に涙が伝った。「悔しいし、情けない」。準々決勝は巴投げで先に有効を取られると、相手の巧みな組み手を崩せなかった。残り1分、背負い投げで担ぎ上げたものの「掛け急いでしまった」と体を反転されポイントを奪えず。千載一遇のチャンスを逃し、「落ち着けばポイントを取れた」と唇をかんだ。
未曾有のプレッシャーが体の自由を奪った。世界ランクでは五輪出場圏内にいるものの、1枠を争う国内では3番手。来夏へ望みをつなぐには、優勝してグランドスラム東京に出場することが必須だった。「(優勝した)昨年と同じだと思って力まないはずだったけど、知らない間にプレッシャーがあった。昨年は勢いだけだったけど(連覇が懸かる)今年は立場が違う。前に出て攻める自分の柔道ができなかった」。初めて体感する五輪の重み、前年王者の重圧が、全身にのしかかった。
試合を見届けた男子日本代表の井上康生監督は「本人は何が何でも優勝したかったと思うが、彼も我々も残念。これでリオ五輪へ黄信号になったことは現実」と眉間にしわを寄せた。それでもホープには最後までエールを送った。「周りも何があるかわからない。ケガがあるかもしれない。1%でも2%でも可能性がある限り、20年の東京五輪も見据えて最後まであきらめず挑戦してほしい」。
最後は大器の片鱗も見せつけた。敗者復活戦で勝ち、進んだ3位決定戦でこの日初めての一本勝ち。「1日に二度は負けられない。最後は自分のやるかやられるかの勝負ができた」と本来の力を出した。課題も見えた。「組み手のバリエーションを増やさないと。リオ五輪の可能性はだいぶなくなったけど、あきらめずに目指したい」。来夏、そして20年東京五輪へ誰よりも大きな成長曲線を描く。