琴奨菊 13年の婚約解消乗り越え

 10年ぶりに日本出身力士として優勝を果たした大関琴奨菊(佐渡ケ嶽)。昨年7月に祐未さんと結婚したが、実は12年10月に佐賀市在住の一般女性Mさんとの婚約を発表し、翌13年4月に披露宴を予定していたが、13年2月に「人生観のずれ」を理由に婚約を解消するというつらい経験もしている。

 婚約会見ではMさんをお姫様だっこして笑顔満面だったが…。

 【以下、12年10月30日付の紙面より】

 大相撲の大関琴奨菊(28)=佐渡ケ嶽=が29日、福岡県久山町の佐渡ケ嶽部屋宿舎で婚約を発表し、婚約者も同席して会見した。お相手は、佐賀市在住の会社員Mさん(29)。3年前に知人の紹介で知り合い、静かに愛を育んできた。九州場所(11月11日初日・福岡国際センター)後に婚姻届を提出し、来年4月20日に都内で挙式を行う予定。

 土俵では、がぶり寄りの激しい速攻が持ち味の大関も、嫁とりは慎重だった。プロポーズしたのは、出会ってから2年以上が過ぎた半年前。琴奨菊が「一緒になろう」と申し出ると、Mさんは「よろしくお願いします」と即答してくれた。

 大関の一目ぼれだった。「明るくて、一緒にいて楽しそう」。第一印象に突き動かされ、すぐに相撲観戦に招待。3年前で今回と同じ九州場所だった。Mさんも「明るくて優しい人柄で決めた。どんな時でも引っ張ってくれる」と次第に心をひかれていった。

 秋場所を左膝の負傷で途中休場した大関は、九州場所を初のカド番として迎える。正念場を目前に婚約発表したのは「いろんな試練を2人で乗り越えたい」との思いからだ。「つらい時も、大関昇進の時も支えてくれた」と、既に何度もMさんの“内助の功”に救われてきた。

 佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)も琴奨菊の決意に理解を示した。「嫁とりの次は綱とり。地元でちょうど良かった。彼女につらい思いをさせないためにも、今場所は優勝する気持ちで」。福岡県柳川市出身の大関に、さらなる飛躍を期待した。

 ケガの回復は順調だ。31日からは申し合いなどの実戦的な稽古も再開する。「婚約発表した今は、喜びより責任感の方が重い。でも、これで2人一緒に出歩けるのはうれしい」。のろけながらも、次に求めるのは横綱の責任。明るい未来だけを見つめて、九州場所に臨む。

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