宮田委員長「A案ありき」報道に嫌悪感
20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は25日、都内で一度白紙撤回された大会公式エンブレムの再選定最終審査を行い、五輪とパラリンピックが一対になった最終候補4作品の中から、A案の「市松模様」を選出した。
発表会後の記者会見には作者の野老朝雄氏(46)と、組織委員会の武藤敏郎事務総長、エンブレム委員会から宮田亮平委員長、王貞治委員が出席した。
最終4候補が発表されて以降、一部で「A案ありき」の審査という報道があったことに、宮田委員長は「我々は公明正大に審査を行ってきた。発表前にそういう考え方をまかれたことを大変腹だたしかった。憤りを感じたことを申し上げたい」と、語気を強めた。
最終審査ではプロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長ら21人の委員が投票し、過半数を得た作品を選出。A案、B案の「輪」、C案の「風神雷神」、D案の「朝顔」の中から、A案が選ばれた。午後の理事会での承認を得て、発表された。
東京五輪エンブレムは開催5年前となった昨年7月24日にアートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした「T」を基本としたエンブレムが発表されたが、直後にベルギーの劇場ロゴを似ているなどの指摘があり、“盗作疑惑”が浮上。その後、佐野氏の他の作品にも疑惑の目が向けられ、わずか39日で撤回を余儀なくされた。
その後、組織委員会は王貞治氏らを委員としたエンブレム委員会を立ち上げ、エンブレムを募集条件などを緩和。幅広い層からエンブレム案を募った。最終候補4案を提示し、国民から意見を受け付けるなど、“開かれた選考”を印象付けながら、今回のエンブレムの選定を行ってきた。