【舩越園子の目】寛容になった松山
「フェニックス・オープン・第3日」(31日、TPCスコッツデール=パー71)
松山英樹がまたまた優勝ににじり寄っている。首位と3打差の2位で迎える明日の最終日は最終組。早くも今季3度目、今年2度目の優勝争いとなるのだが、彼の表情がとても柔和だからこそ、勝利への期待が高まる。
振り返れば、新人だった昨年のこの大会で、松山は大観衆が大騒ぎする名物16番(パー3)のことを尋ねられても「そういう中でやらなきゃいけないのがプロなんでね」と突っ張っていた。最終日、首位に1打差まで迫りながらボギーをたたいて失速したのは、この16番だった。
だが、今年の松山は寛容になり、よく笑い、よく語る。今日も「一番うれしいバーディーは?」と会見で尋ねられると「16番。みんなを沸かせることができたから」と米メディアを笑わせ、周囲にも溶け込み始めている。
その姿勢はゴルフにも反映されている。この日はパットが好感触。だが、ショットのほうは「100%信じ切れるかと言ったら微妙。でも、ミスしても許せる感じでできている」と寛容寛大。練習も「とことん突き止めてないけど、ほど良い感じでいい」。
その「ほど良さ」が表情にも口調にもゴルフにも表れ、柔和なのに強さが漂う。だからこそ、明日の勝利への期待が高まっていく。(在米ゴルフジャーナリスト)