【舩越園子の目】語り草、松山の一打
「全米オープン・第1日」(18日、チェンバーズベイGC=パー70)
チェンバーズベイのコース上のあちらこちらにマーシャルとして立ち、プレーの円滑な進行を手助けするボランティアの人数は4日間で延べ5000人。昨秋に募集をかけたところ、「何日でも働きたい」と申し出る人々が続出し、「1人2日まで」に限定したそうだ。
1番は「○○CC」、2番は「△△CC」という具合に1ホールのマーシャルを1つのゴルフクラブに任せ、「キミはティーグランド」「アナタはセカンド地点」と顔見知りのメンバー同士で持ち場を割り振る方式。各クラブの団結力が活かされるから、これはなかなかの名案だ。
初日の松山英樹は2アンダーまで伸ばしていながら折り返し後の7番で喫したダブルボギーは残念。だが、彼自身が「一番いいバンカーショットができた」と振り返った3打目は、7番を担当していたシアトル郊外のゴルフクラブで「語り草になる見事なショットだ」とグリーンサイドに立つボランティアのオジサンが目を丸くしていた。
バーディーやイーグルではなくても、たとえスコアはダブルボギーでも、人々を喜ばせ、どこかのゴルフクラブの語り草にまでなる一打というものがある。なるほど、「一打の重み」には、そういう重みもあるのだなあ。(在米ゴルフジャーナリスト)