石川遼の言葉で再確認した、ルーの強さ

 女子ゴルフの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(9月10~13日、長崎県・パサージュ琴海アイランドGC=パー72)で優勝したテレサ・ルー(27)=台湾=の圧倒的な強さに感動した。

 最終日は通算6アンダーの首位でスタート。難しいコースセッティングの中、3バーディー、2ボギーの71で回り、通算7アンダーで勝ったのだが、技術もメンタルも、メジャー女王にふさわしいものだった。

 その戦いぶりは、まさに“横綱相撲”。大横綱白鵬の言葉を借りるなら、最初は相手に好きなように相撲を取らせておいて最後は勝つ、まさに“後の先”だった。スタートの1番から手堅くパーオンさせて2パットでパーを続けていき、バーディーを期待するギャラリーをまるでじらしているかのようだったが、ギアを上げるべき時は上げる。

 540ヤードと距離のある9番パー5。多分、勝負どころと読んだのだろう。それまで軽く振っていたドライバーを初めて強振した。この1打を何と308ヤード飛ばし、ピンまで残り234ヤード地点を捕らえた。ただ、2打目は大きな池越え、グリーン奥はバンカーが口を広げている。

 ここで普通のプロなら「何もここで無理をすることはない。レイアップする手もある」と、心の声がささやくに違いない。

 だが、ルーは違った。「残り100ヤードに刻む?それじゃ面白くないじゃん」。さらりと言って3Wを振り抜くと、ボールはギャラリーの声援に後押しされるように軽々と池を越え、奥のバンカーへ。もちろんバンカーに入るのは計算済みで、これを3メートルに寄せてバーディー。優勝争いをしている上田桃子、イ・ボミ(韓国)が第2打をレイアップせざるを得ないのを横目に、技術レベル、メンタルレベルの違いを見せつけた。

 2位に2打差をつけて迎えた、目の前に大きな池が広がる165ヤードの17番パー3も鳥肌が立った。池を越えて、なおかつ硬いグリーンにボールを止めるためには、7Iのフルショットが必要な状況で「急に緊張がきて引っかけた」と、まさかの池ポチャ。だが、この時、ルーは慌てるでもなく、にこりと笑ったのだ。

 「打った瞬間、あーって。笑っていた?だって面白いじゃない。ホントにひどいショットだから」。大ピンチでこの冷静さには驚いたが、打ち直しの第3打にはもっと驚いた。池の手前から133ヤードを9Iでピン奥1・5メートルにつけ、このラインを読み切って“ナイスボギー”。単独首位に踏みとどまった。

 ルーはこのホールをこう振り返っている。「もう池に入ったからしようがない。私もう1発打ちます。池に入っても、もう1回打てるんだから、リベンジのチャンスある。頑張りましょう」。普通のプロなら「また次も池に入れたら」とピンを大きくオーバーしがちな状況で、ピンにピタリ。コースの罠(わな)など超越し、自由自在、思うがままにゴルフができるレベルに達しているのだ。

 ルーは420ヤードの最終18番パー4でも、大1打をドライバーで301ヤード飛ばし、残り119ヤードを50度のウエッジで2メートルにピタリと止め、バーディーフィニッシュ。最後も力の差を見せつけての完勝だった。

 ルーは強い。現在、国内女子ツアーにはイ・ボミ、申ジエ(韓国)、アン・ソンジュ(韓国)といった強豪がひしめくが、中でも頭一つ抜けている。そして、この日本女子プロの翌週、男子ゴルフ・ANAオープン(北海道・札幌GC輪厚C)で今季ツアー初出場初優勝した石川遼がこう言っていたのを聞いて、ルーの強さを再確認した。

 石川はこう話した。

 「リッキー・ファウラー、ジョーダン・スピース(ともに米国)、ジェイソン・デイ(オーストラリア)。勝つ選手は、みんな自由にプレーしている。こういう選手だって(コースセッティングやグリーンの速さ、硬さに)恐怖心があるのだろうけど、それに打ち勝っている。だからリッキーにとって僕は“遼は恐怖心がある。チャレンジしていない”と見えていると思う」

 日本女子プロの時、ルーはまさに石川の言う「恐怖心に打ち勝って自由にプレーしていた選手」だった。最後にルーの優勝談話の一部を付け加える。

 「私が優勝できたのは自信があるからです。今は自分のゴルフを信じられます。難しいコースは大好きです。だって面白いじゃない」-。

(デイリースポーツ・松本一之)

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