史上初五輪放送赤字、10年W杯に続き
日本民間放送連盟(民放連)の井上弘会長が20日、都内で定例会見を開き、ロンドン五輪の収支が赤字だったことを明かした。五輪の放送が赤字となったのは史上初めて。
五輪の放映権は、1984年のロサンゼルス大会以降、NHKと民放連からなる放送機構(ジャパン・コンソーシアム=JC)が共同購入している。井上会長は赤字額は明かさず「放映権の上昇と、時差で放送が深夜帯になったためCMの収入が伸びなかった」と分析した。
放送権の高騰に加え、民放各局は不景気で広告収入が激減しており、史上最多のメダルラッシュに沸いた五輪中継といえども、ミラクルは起きなかったようだ。放送権料は一般には公にしておらず、ロンドン五輪は10年のバンクーバー冬季五輪とのセットで、325億円と一部で報じられている。
世界的なスポーツの祭典といえば、同じくJCが放送権を購入した10年開催のサッカーW杯南アフリカ大会も、実は史上初めて赤字を記録している。
10年9月の会見で、民放連の広瀬道貞会長(当時)は民放全体の収支が赤字となった理由について、放送権料の高騰とリーマン・ショック後の不景気のほか、W杯直前まで日本代表が不振だったため、企業の関心が低く、広告販売に影響が出たことなどを挙げていた。関係者によると赤字額は十数億円に上るとみられる。
同大会で日本代表はベスト16に進出し、日本中に“サムライ・ジャパン”旋風を巻き起こした。W杯は2002年日韓大会からJCが放送権を扱うようになった。