勘九郎、万感千秋楽「父の魂」継承誓う
5日に父で歌舞伎俳優の中村勘三郎さんを亡くした長男の中村勘九郎と次男の七之助が26日、京都・南座で出演していた「吉例顔見世興行」が千秋楽を迎えた。夜の部の六代目中村勘九郎襲名披露口上では、勘九郎が「父の魂をこの身に宿し、精進する覚悟でございます」と亡き父の魂を継承することを誓い、客席からはすすり泣きと拍手が沸き起こった。
片岡仁左衛門らと並び、口上の席に座った勘九郎は、「12月5日に父が逝ってしまいました。弟もそうだと思いますが、今も信じがたく、受け入れ、受け止めてその一歩を進めることが、なかなか数日できませんでした」と胸中を吐露。「こうして千秋楽を迎えられたのは、諸先輩方が愛してくれ、その愛を注いでくれたからです」としっかりとした口調で感謝を述べると、満員の客席からはすすり泣きが漏れた。
5日早朝に父の最期を看取り、そのまま京都に舞い戻った2人は、通夜も葬儀にも出席せず、一日も休まず舞台に立ち続けた。明るく楽しいことが大好きだった父を見送るように、千秋楽の口上には涙はなく、明るい笑いに包まれた。
勘九郎は「父は『大丈夫か、(客は)入っているか』といつも心配していましたが、自信をもって入っている、と言えます。ただ父は『おれの時も入ってたよ』ときっと言うでしょう」と負けず嫌いだった父の顔を思い出したのか、笑顔を浮かべ、「父の遺志、父の魂をこの身に宿し、弟・七之助や中村屋一門と、精進する覚悟でございます」と力強く語った。
七之助も「いつまでも下を向いているわけにはいきません。父に言われた兄の襲名を支えるということを胸に刻み、精進していきたい」と兄弟二人、力を合わせて中村屋一門を盛り上げていくことを天に誓った。
勘三郎さんの本葬は27日、東京・築地本願寺で営まれる。勘九郎と七之助は東京に戻り、喪主を務める。