作家の渡辺淳一氏、性的不能を告白
「失楽園」など愛を描いて有名な小説家の渡辺淳一氏が3日、性的不能を告白した。
テレビ朝日系「ワイド!スクランブル」の特集コーナー「山本晋也の人間一滴」で、映画監督・山本晋也のインタビューに対して明らかにした。
渡辺氏は昨年「愛ふたたび」を新聞連載し、このほど幻冬舎から出版された。73歳の整形外科医が性的不能に陥り、絶望した彼の前に亡き妻の面影を持つ女性が患者として現れる-という内容で、この性的不能が実は渡辺氏自身の体験に基づくものだった。
3年前から前立腺がんにかかり抗ガン剤で治療していることは既に告白しているが、性的不能に陥ったのはそれ以前。「これまで書いていなかったことで、僕自身にとって一番大きな内面的な問題は、やっぱりこの問題だったんです」
症状が明らかになったとき、渡辺氏は当初「やっぱりショック受けたし、でも何とか大丈夫なはずだとあきらめ切れなかった、しばらくは…」。しかし「何度か試みてダメだとなったとき、そういう時が来たんだ、と」あきらめの心境に至った。
そして渡辺氏は同じ事態を迎えたシニア世代に語りかける。「当然、別のことをすべきです、性行為以外の愛の表現を。軽くなでてあげるとか、それでいいじゃないですか」-愛の伝道師がそんな境地に至った。
昨年12月に傘寿の祝いを行い、今は79歳になる渡辺氏。それでもあきらめに至るまでは大変な葛藤があったようだ。そして小説に。「世界でもこれについては誰も書いていない」と、タブーに触れた作家魂が、告白する渡辺氏の表情を凛として見せた。