“まゆゆ蹴り”フジにBPOが問題指摘
お笑いタレントの加藤浩次が8月3日に放送されたフジテレビ系「FNS27時間テレビ]内のコーナーで、AKB48の渡辺麻友に暴力行為があったなどと視聴者から指摘があった問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と青少年に関する委員会」が22日、3つの問題点を指摘し、公表した。BPO側は「出演者の身体に加えられる暴力や危険行為」「女性アイドルや女性芸人に対する性的な際どい演出」「地上派の公共性に対する認識」について問題がある、と指摘した。
審議対象となったのは、「生爆裂お父さん」のコーナーで、加藤が渡辺にプロレス技をかけた後、頭を踏んだり蹴ったり、スカートがめくれあがり、“見せパン”をはいていたものの、お尻が丸見えになってしまうなどした。
これまでフジに番組制作意図の報告書の提出を求め、番組制作者と意見交換を行うなどし、審議を続けてきたBPOは、視聴者の多くが、プロレス技「ジャイアントスイング」前後のシーンに(1)これが当然おもしろいと感じる文脈を見つけられなかった(2)多くの人が違和感を感じた(3)人間の顔を足で踏むことは、尊厳に関わる行為で不快感を増大させた‐などと指摘。
ジャイアントスイングをされている間に、宣伝したビデオが楽曲が流れるとなれば、女性アイドルも女性芸人も身体を張って挑むことは容易に予測できる。さらに、女性アイドルがパンツもあらわに爆裂お父さんに股を開閉されたりするシーンが流れれば、不快に感じる視聴者もいることに思いが至ってなかったのではないか、と問題点を挙げ、「制作者はもう一度深く考えてほしい」とした。
その上で、2010年にフジテレビが“私たちのフジテレビバラエティ宣言”として「愛がなければテレビじゃない!安心できなきゃテレビじゃない!やっぱり楽しくなければテレビじゃない!」をテーマに掲げたことを踏まえ、「今回は上記の3点を鑑みても、視聴者に対する想像力が十分でなかったといわざるをえません」と厳しく指摘。「バラエティー番組も『人間の尊厳』『公共の善』を意識して作られるべきでしょう」と結んだ。