史上初の福女誕生か 10日に福男選び
商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)で10日に恒例の「福男選び」が行われる。以前は報道陣も少なかったが04年に妨害行為があり、以後、報道は過熱。知名度も上がり、参加者は急増した。対応策として神社側は06年からくじ引きを導入。これが長く続いた神事に思わぬ副作用をもたらした。福男ではなく、史上初の福女が誕生する可能性が出てきたからだ。
神社関係者は「近年の福男選びは、くじ引きの導入によって門前からスタートする参加者はバリバリのスポーツマンの集団ではなくなった」と指摘。「福男になった人の100メートルのベストタイムを聞くと、女子でも陸上競技の選手なら勝てるんじゃないかというのも多い。実際に数年前、先頭集団に女性スプリンターがいて“福女誕生か?”とマスコミが色めき立っていました。残念ながらその女性はスタートで転んでしまったようです。しかしながら、福女はいつか誕生するでしょう」と語った。
報道の過熱によって女性にチャンスが出てきたわけだが、一方で弊害も出てきた。神社関係者は「神事であることを理解していない取材者が目立つ」と話した。
福男選びを取り巻く環境が一変したのは04年。その年の一番福は消防士の男性だったが、開門時に仲間たちが後続の参加者をブロックして妨害したことが判明。テレビやネットで騒ぎとなり、男性の職場にも抗議の電話が殺到。2日後には一番福を返上するという前代未聞の事態に発展した。
この騒動は大きく報じられ、翌年から取材陣が激増した。それまでテレビ局は在阪準キー局が中心だったが、東京からキー局が来るようになった。
神社関係者によると、中には「東京から来てやっている」という横柄な態度を取る取材陣も珍しくないという。神社側が「神事ということを念頭に置いて取材を」と念押ししてもタバコの吸い殻を放置していくケースも後を絶たず、取材禁止エリアに入り込むこともあった。また、バラエティー番組で笑いのネタとして扱われることも増えていったという。
神社側は「くれぐれも神事であることを忘れないで欲しい」と話している。