佐村河内氏 新垣氏もウソついている
作曲者偽装が問題となっている佐村河内守(さむらごうち・まもる)氏(50)が7日、都内で、会見を行った。問題が発覚後、初の公の場。第一報が報じられた2月6日にゴーストライターだった新垣隆氏(43)が、会見を開き謝罪してから1カ月が経過し、ようやく姿を見せた。
15メートル四方の部屋に、テレビカメラ約50台、スチルカメラ約50台を始め、200人以上の報道陣が集結。会見開始1時間前には記者用の椅子が満席となった。
通常の会見では、スタッフや代理人らが段取りなどを仕切るが、今回は佐村河内氏自身がファックスを送信するなど、すべて一人で会見を行おうとしているため大混乱に。ホテル側が受付を用意していたが、そこには誰もおらず、結局警備員が会場で名刺を集めて回った。
会見前には、障害者手帳を交付した横浜市による身体障害者診断の再検査診断書が報道陣に開示され、「聴覚障害に該当しない」と診断されたことが明らかになった。
診断書によれば、聴力は右が48・8dB、左が51・3dBで「感音性難聴」の状態。鼓膜は左右とも正常という。語音による検査では、最良語音明瞭度は右が71%、左が29%と診断された。
障害程度等級についても「該当しない」とされていた。
午前11時過ぎ、佐村河内氏が現れると、カメラのフラッシュが会見場を真っ白にした。
警備員に先導されて現れた佐村河内氏は、トレードマークだった長髪は短めにカットされ、サングラスは着用せず。黒のスーツ姿で登壇すると頭を下げ、こわばった表情を浮かべながら、はっきりとした口調で「この度は多大なご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございませんでした」と口を切った。手話通訳が壇の下に位置した。
「迷惑をかけた皆さんの名前を挙げてお詫び致します」とファンや関係者に謝罪する中で、ソチ五輪男子フィギュアの演技で楽曲を使用した高橋大輔や、自作と偽って励ましの曲を贈った震災被災者も挙げた。
そして、2月に発表した謝罪文では、全ろうとしていた聴力が3年ほど前から回復していたと告白したことについて「結果的に健常者と同じように聞こえている、本当は手話通訳もいらないと誤解されたことについて、音声はひずんでしまうのでほとんど聞き取れない」とし、手話通訳がぐるになっていたのではないかという疑惑を否定した。
障害者手帳については既に返納、また障害者年金は一度も受け取っていないことを明らかにした。
また作曲能力について、まるでないのではなく、「プロとして音楽をやってきました」と、かつてNHKハイビジョンの番組に楽曲提供したことがある等を証拠として挙げた。
前日、マスコミ各社に会見開催を知らせたファクスでは、ゴーストライターだったと告白した新垣隆氏(43)らの発言について「事実と異なる点がありますので、自分の言葉で説明させていただきたいと思います」と反論を用意していることをうかがわせていた。
佐村河内氏はその点についてまず「新垣氏は何度も『もうやめましょうと言った』と話していますが、それは嘘です」と、新垣氏からその話が出たのは発覚直前のただ1回だけであったと主張した。
また佐村河内氏は、楽曲作成を依頼する度に、新垣氏が佐村河内氏の提示するギャラのつり上げ交渉をしたと話した。
新垣氏は6日、佐村河内氏の会見開催を知って「佐村河内さんが真実を話し、そして謝罪されることを望みます」などというコメントを発表している。