宇津井健さんに“スーパーマン”の時代

 ダンディーな二枚目スターとして活躍し、近年は安定感ある父親役で定評のあった俳優・宇津井健さんが亡くなった。82歳だった。宇津井さんといえば、年齢を感じさせないダンディーな姿が印象的だが、実は宇津井さんは20代後半、白い全身タイツ姿で、“日本版スーパーマン”ともいえる特撮ヒーローシリーズに主演していた時代があった。

 テレビが一般家庭に普及した1957年から59年にかけて公開された主演映画シリーズ「スーパージャイアンツ」。日本初の特撮ヒーローものにして、現在でもカルト的人気を誇る幻の名作として語り継がれている。

 今の宇津井さんからは、想像もできない白の全身タイツ姿で、悪をなぎ倒す‐。「スーパージャイアンツ」は、「鋼鉄の巨人」(57年)から「続スーパージャイアンツ 毒蛾王国」(59年)まで9作品が製作された。

 宇津井さん演じるエメラルドすい星の宇宙人スーパージャイアンツが、原水爆実験中止を求める使者として地球に派遣され、秘密結社アトムAB団と対決する‐という物語だ。

 日本の特撮ヒーローものの元祖で、勧善懲悪のスタイルは、ウルトラマン、仮面ライダーなどにも多くの影響を与えた。当時はCGやVFXなどはもちろん存在せず、その手作り感が、現在でもカルト的な人気を誇っている。

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