橋下市長「美味しんぼ」で厳重抗議

 東京電力福島第1原発を訪問した主人公らが鼻血を出す描写が物議を醸している漫画「美味しんぼ」が、12日発売の最新号で、昨秋まで東日本大震災の廃棄物の受け入れ・焼却処分を行った大阪市でも焼却場近くで約8割の住民が健康不調を訴えている旨の説明表現を掲載した。

 これに対し大阪市は同日付で橋下徹市長名で、掲載誌「週刊ビックコミックスピリッツ」を発行する小学館に厳重抗議したことを発表した。

 大阪市のHPによると、今月2日に環境省からの問い合わせで事前に掲載情報を得た同市が同8日に小学館に問い合わせ。「内容を確認した結果、事実と異なる記載の表現が確認されました」とし、訂正を求めたが対応がなかったため、12日付で抗議した。

 公開された抗議文は、橋下市長と、松井一郎大阪府知事名で「大阪府民の無用な不安を煽るだけでなく、風評被害を招き、ひいては平穏で安寧な市民生活を脅かす恐れのある極めて不適切な表現」と批判。「大阪府、大阪市として厳重に抗議するとともに、作中表現の具体的な根拠について是非開示されるよう強く求め、場合によっては法的措置を講じる」としている。

 一連の問題は4月28日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)掲載の「美味‐」が、主人公の新聞記者・山岡士郎たちが、福島第1原発の取材に行き、その後、鼻血が出たり、ひどい疲労感に襲われ、その後会った福島県双葉町の前町長が「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と明かす‐とのストーリーを展開。

 同誌編集部に「風評被害を助長する内容では」などと批判が殺到し、双葉町も「鼻血などの症状を訴える町民が大勢いるという事実はない」と小学館に抗議文を送った。

 しかし12日発売の続編では、前双葉町長らが主人公らに「私が思うに…」として鼻血や疲労感の原因が「被ばくしたからですよ」と分析。さらに「大阪で、受け入れたガレキを処理する焼却場の近くに住む住民1000人ほどを対象に、お母さんたちが調査したところ」として「放射線だけの影響と断定はできませんが、眼や呼吸器系の症状が出ています」「鼻血、眼、のどや皮膚などに、不快な症状を訴える人が約800人もあったのです」と説明するなどしている。

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