渡辺麻友、初Vの裏に優子との“誓い”

 「AKB総選挙」(7日、味の素スタジアム)

 昨年3位だったAKB48の渡辺麻友(20)が、史上最多の15万9854票を獲得し、1位の座に就いた。常にかわいらしく、“CG説”が浮上するほど整った顔立ち。スキャンダルとも無縁な清純派の“王道アイドル”が6度目にしてついに頂点に立った裏には、去りゆく大エースとの“誓い”があった。

 09年の第1回から4位、5位、5位と続き、12年の第4回では2位と、念願のベスト3入り。その時点で、目標は「頂点」に切り替わった。大観衆の前で、はっきりと「1位獲得」を宣言した。

 だが、本気で天下取りを狙った昨年は、指原莉乃、大島優子に次ぐ3位に終わった。開票終了後、メンバーの前でも悔しさをあらわにした渡辺。「ひたすら真面目に頑張って努力することだけがすべてではないんだなと思い、一瞬は1位になるという夢をあきらめかけてしまった…、そんな自分がいました」と、心が折れかけていた。

 止まりかかった渡辺の背中を押したのは、9日をもってAKBを卒業する大島だった。悲嘆に暮れる渡辺に「麻友が次期センターだから」とひと言。2度目の制覇を果たし、また渡辺が1位を目指すきっかけともなった12年の総選挙後には、「これからはまゆゆがグループを引っ張っていってほしい」と、渡辺を自身の後継者として“指名”した大島の言葉は、何よりも重かった。

 その大島が、グループを去る今年。どうしても勝ちたかった総選挙だが、スタートは万全ではなかった。5月21日に発表された速報では、1位の指原に1万2000票あまりの差を付けられ2位。ファンに「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べたものの、その表情には若干の落胆の色が浮かんでいた。

 だが、もう心が折れることはなかった。“2年越し”の約束を果たすのは、今年しかない‐。“アイドルサイボーグ”の異名を取り、常に明るく笑顔を振りまいてきた「まゆゆ」が見せた、本気の決意だった。

 晴れて1位の座についた渡辺は「今までは、先輩の背中を見上げながら、後についていくように活動してきましたが、もう先輩の背中を見上げて後に付いていくことは出来ません」ときっぱり。自分を導いてくれた大島らに感謝を述べるとともに、「これからはたくさんいる後輩たちが私の背中を見て、この先輩について行きたいと強く思ってもらえるようなメンバーになりたいと思います」と“独り立ち”も宣言し、さらに「史上初の連覇…狙いたいです」とどん欲さも表に出した。

 そんな渡辺に花束を渡しながら、大島は「外から見るAKBがキラキラしているように、頼みました」と、安心したような笑顔。大きな重圧と、それをかき消すほどの喜び…国民的アイドルの“エース”というバトンは、新ヒロインに確かに受け継がれた。

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