８日発売のアルバム「Ｓｏｆｔｌｙ，はじまるよ」で全国デビューを果たした、北海道・苫小牧出身の女性２人組弾き語りユニット「Ｓｏｆｔｌｙ」がこのほど、神戸市内でデイリースポーツの取材に応じ、今後の抱負などを語った。

　地元ラジオから火が付き、瞬く間に全国区となった２人は「北のＫｉｒｏｒｏ」の異名を取る。２人が出会ったのは、高校１年の冬。共通の知人に紹介された。ギターのＨＡＲＵＫＡは「中３でギターを始めて、高１で軽音楽部に入ったんです。それを見てた友達が、ＭＵＴＳＵＫＩちゃんを紹介してくれて」と当時を振り返った。ボーカルのＭＵＴＳＵＫＩは「自分でもよくわからないんですけど、この人とやっていこう！って、直感的に思ったんですよ」。という。

　その相性の良さは、出会ったその夜に早くもオリジナル曲が完成したという事実に、よく表れている。「知ってるコードをとりあえず鳴らしながら…。そしたらなんとなく出来ちゃって、それにＭＵＴＳＵＫＩちゃんが詞をつけて」（ＨＡＲＵＫＡ）という簡単なものだったが、２人の運命を決定づけるには、十分な作品だった。

　ＭＵＴＳＵＫＩには“歌のＤＮＡ”も備わっている。母方の親戚には、民謡界のスーパースターで、紅白歌合戦にも２度出場している伊藤多喜雄（６４）がいるという。ＭＵＴＳＵＫＩ自身も幼少時は民謡を習い、高１から本格的に歌手を志すようになった。目標とする歌手は、カナダの若きポップスター、ジャスティン・ビーバー。いろいろとお騒がせな存在でもあるが、ＭＵＴＳＵＫＩは「ファンを楽しませるのがすごく上手だし、自分の世界観を持っている。すごい心に響く音楽なんです。私もそういう歌手でありたいなって」と理由を説明した。

　一方のＨＡＲＵＫＡは、「やっぱり、アコースティックギターで弾き語りをする方が好きですね。ＹＵＩさんとか、miwaさんとか…」という。音楽性は決して一致していないが、「お互いにいろんなジャンルの音楽を聴き合って、それぞれのいい部分を取り入れながら曲を作っていくので、いい影響があります」（ＭＵＴＳＵＫＩ）という。

　「Ｓｏｆｔｌｙ」の名前の由来は、２人を引き合わせた共通の知人の発案だという。ＨＡＲＵＫＡは「なんか２人ともフワフワしてるよね、っていうことで決まりました」と笑った。確かに一見すれば、笑顔のかわいらしい、素朴な雰囲気の１７歳。だがその胸の中には、音楽への熱い思いが詰まっている。ＭＵＴＳＵＫＩはこの３月、音楽活動に専念するため、高校を中退した。それまで通っていたのは、地元の駒大苫小牧高校。米ヤンキースで活躍する田中将大投手や、アルベールビル五輪銅メダリストで現在は日本スケート連盟の会長も務める橋本聖子氏らを輩出した。ＭＵＴＳＵＫＩは「個性的な人が多いんですよね。１人１人がプライドを持っているというか…。やっぱり偉大な先輩たちの活躍には、勇気をもらえます」と話した。

　２０１３年１２月に出会い、今年１月の配信デビューを経て、ついにつかんだ全国への道。とはいえ、もちろんいまだ発展途上の存在なのは間違いない。ＨＡＲＵＫＡは「まだ１７歳なんで、これから１８歳、１９歳とどんどん大人になっていく中で、ファンの方に自分たちの成長を見てほしいです。ライブはお客さんからすごくパワーをもらえるし、ＳＮＳとかでいただくメッセージも力になります」と気合十分。ＭＵＴＳＵＫＩも「私は学校を辞めて、ＨＡＲＵＫＡちゃんは学校に通ってて…という風に、人の生き方、感じ方はみんなそれぞれで当たり前だと思うんです。そんな中で、どこかで同じことを思って、感じる…、そういう共感が、私たちの音楽で生まれたらいいなと思います」と先を見据えた。

　今後の目標については「２人で日本武道館のステージに立ちたいです！」と声をそろえた。北の大地から飛び出した“ふわふわコンビ”の歩みは、まさにこれからだ。