又吉会見ほぼ全文・前編
第153回芥川賞を「火花」(文藝春秋刊)で受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹が16日午後9時過ぎ、都内のホテルで受賞会見に臨んだ。「すごいびっくりした」、「こんな緊張することはない」とややこわばった表情で喜びを語った。今後も芸人としての活動をやり切った後で執筆することを強調。「それが文章に書くときの1歩目になることが多いので、すごく必要なことなんです」と語った。
【以下、会見の質疑応答ほぼ全文・前編】
(最初にあいさつ)
「すごいびっくりしたんですけど、うれしいです。ありがとうございます」
-敬愛する太宰治も取れなかった芥川賞を受賞した。
「(自分が)小説を読み始めたのが、芥川(龍之介)と太宰から読み始めた。太宰が川端康成に手紙書いたとかいろいろ聞いていた。テレビで(自分が)『太宰好き』とか勝手なことを言うて申し訳なくなるんですけど。言った時はお墓参りに行くようにして。今月は2回か3回は行きました(笑)」
-作品を読む若い人にメッセージを。
「面白い小説がたくさんあるので、僕の小説が合わない人でも、他の小説でという人もいると思うので、僕のを読んであかんかったから小説を読むのやめようというのは…(やめてほしい)。(作家)みんなで背負っていきたい。1人目で読んでいただけるのはうれしいですけど、100冊読んだら絶対本を好きになると思うんですよね。2、3冊の時は難しくてて分からん、ということがある。そこまで頑張ってもらいたい」
-芥川龍之介にどんな言葉をかけられると思うか。
「芥川は恐らく僕みたいな髪型のやつ嫌いやと思います。ベートーベンを天才ぶってると(芥川が)書いていることがあって、印象深いんですよね。(僕は)顔と表情と髪型が合うてるなと思っていた。それぐらい(芥川は)厳しい一面を持っている。でも言われてみれば説得力を持っている方なので『又吉、お前、この感じ、やってるんちゃうか』と言われると思います。(ほめてもらう自信?)それはないです」
-芸人の世界を描いている。師匠、兄さんから『先生』と呼ばれるのでは。
「僕のことをふざけて先生と呼ぶことはあると思うんですけど、本気で呼ぼうとしているのは相方の綾部(祐二)だけだと思う(笑)。いろんな人が『読んだで』と声をかけてくださるのはうれしいです」
-受賞したことで芸人としてやりにくくなることはあると思うか。
「注目していただくことは芸人にとってありがたいことなので、不都合は今のところ感じていないです。コンビでやっているので、不都合はないと思います」
-綾部さんと何か会話をしたか。
「仕事中らしくて、コメントはくださったみたいで。くださった、って敬語つかってしまいましたけど。何か(コメントを)いただきました」