又吉を綾部も祝福 垣間見えたコンビ愛

 第153回芥川賞の選考会が16日、都内で行われ、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)の著作「火花」が受賞した。お笑い芸人の受賞は史上初の快挙。相方の綾部祐二は受賞の瞬間は別の仕事をしており、直接電話で話すことはできなかったが、所属事務所を通じて「大先生、芥川賞おめでとうございます。これで本格的にアシスタントになる覚悟ができました。これからも宜しくお願い致します。」と“コンビ格差”をネタに祝福メッセージを寄せた。

 又吉は、「ライブを毎月やりながら気付くこととか、お笑いで表現できひんこととか、コントにできひんこととか、どっかに残っていて、それが文章に書くときの一歩目になることが多いので、(芸人をやっていることは)すごく必要なことなんです」と今後も芸人と作家、二足のわらじを続けることを明言。

 さらに、今後もこれまで同様、芸人としての仕事を100%でやった上で、「それ以外の時間で書く」というスタンスを「崩さんようにしようと思います」と執筆活動との向き合い方を明確にした。

 又吉が作家として注目を集める一方、綾部は“コンビ格差”をネタにするようになった。受賞会見で「先生」と呼ばれることについてどう思うか、と聞かれた又吉は「本気で(先生と)呼ぼうとしてるのは相方の綾部だけだと思う」とちゃんと相方をネタにし、会見後の囲み取材でも「綾部は最近、コンビ格差とか言ってるんですけど、(事実)2人っきりの時に『(受賞したら)時計買ってくれ』って言われました」と淡々と暴露し、相方のネタを提供するなど、“コンビ愛”を見せた。

 高校3年のクラス文集で、壁にぶつかった時、追い込まれた時は「今までどれだけしんどいことに耐えてきたか、逆境に追い込まれた時、前向きな気持ちを持ってそれを乗り越えてきたかという経験が大切だと思います」と書いていた又吉少年。この日の囲み取材でも、芸人と作家の“兼業”について大変か、という問いに「しんどいのは当たり前やと思ってるんで。しんどいくらいでいいと思う」と話した。ここに、又吉の“強さ”が見えた。

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