ミュージカルの新星アニソンに挑戦中

 ミュージカル歌手とアニメソング歌手の二足のわらじを履くアーティストがいる。昆夏美(こん・なつみ)、24歳。11年に「ロミオ&ジュリエット」のオーディションでヒロイン・ジュリエット役を勝ち取り、ミュージカル界の新星として台頭した。13年からはアニメの主題歌に挑戦するようになり、7月2日にスタートした「ケイオスドラゴン 赤竜戦役」(TOKYO MXなど)でもオープニングテーマ「ISOtone」を担当している。まったく異なる2つのジャンルに挑む秘けつや心境はどのようなものか。

 まず、単刀直入に聞いた。ミュージカルとアニメソングは、歌い方をどう変えているんですか?「ミュージカルは、『らああぁぁぁ…』って、おなかから全部息を使って出す、という感じです。アニメソングは声を明るくするとか。こんな感じですね」。昆は実際に太い声を出したり、アニメ声優が演じるような高く明るい声を出したりして、笑顔で“演じ分けて”くれた。

 東京都出身。子どものころから演じることが大好きだったという少女は、演劇畑で育った。12歳から中学3年時まで、児童劇団「大きな夢」で活動。洗足学園音楽大学ミュージカルコースに進み、11年4月に東宝芸能のオーディションに合格したことで芸能界デビューを果たした。

 ここから先はまさにシンデレラのような活躍を見せる。プロ初作品の「ロミオ&ジュリエット」でヒロインのジュリエット役を射止めると、「ミス・サイゴン」のキム役、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役など、重要な役を勤め上げてきたミュージカル界の新星だ。

 順調にステップアップする中、表現の幅を広げるためにも挑戦したのが「アニメソング」だった。13年に自身初のアニメ主題歌「私は想像する」(「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」のオープニングテーマ)で歌手デビューしたが、最初は「2つのものを一緒にやっていけるのか」という戸惑いはあった。

 デビュー曲ではいきなりつまずいた。デモテープに入っている作詞・作曲者の石川智晶の声に気押され、「自分がどう歌えばいいんだろう」と尻込みしてしまった。石川は音楽ユニット「See-Saw」やソロ歌手として、「機動戦士ガンダム」シリーズのテーマソングなどを担当しているアニメソング界の重鎮。そんな大先輩からは「昆ちゃんの歌だから、好きに歌ってくれていいから」と背中を押された。自分ができるのか、という不安は歌いながら消していくしかなかった。

 ミュージカルと並行して、昨年までに3曲のシングルを発売した。今年はアニメソング界の祭典「アニメロサマーライブ2015」(通称・アニサマ、今年は8月28日、29日、30日にさいたまスーパーアリーナで開催)の出演も決まり、アニソン界の立ち位置も確立し始めた。「アニソン歌手の人だと言われることも増えてきました。ミュージカル関連でニコニコ動画の番組に出たんですけど、アニソンの人だっていうコメントが流れてきて。そういうのを見ると定着してきたなって思いますね」。ミュージカルの「レ・ミゼラブル」で自分と同じエポニーヌ役を演じる声優の平野綾から、アニサマの雰囲気を予習している。

 演劇畑で育っていても、アニメソングは自分の近くにあった。子どもの頃に、初めて買ったCDは「魔法騎士レイアース」の主人公「獅堂光」のキャラクターソングだった。03年放送開始の「明日のナージャ」も昆にとっては印象深い作品で、本田美奈子さんが歌った主題歌「ナージャ!!」は、今でも耳について離れないという。今度は自分が、アニメソングの楽しさを伝える番だと考えている。

 「今、私がやらせてもらっているアニメは深夜帯が多いですけど、アニメが好きでこの主題歌を知っていいなと思ってくださるアニメファンの方もいるだろうし、皆さんの耳に残る歌を歌いたいなと。それが記憶に残っていたりすると思うんです」

 みんなの記憶に残るために。昆夏美は、舞台の上で、アニメソングで、七色の光を放つ。

 ◆昆夏美(こん・なつみ) 1991年6月28日、東京都出身の24歳。洗足学園音楽大学ミュージカルコースを卒業し、現在はミュージカルと歌手活動を並行して行う。好きな歌手は本田美奈子で、「アルバム『JUNCTION』の『つばさ』という曲が好きです」。最近は自称サッカーの“にわかファン”で「最初は川島選手がかっこいいと思って、その後、ウッチー選手(内田篤人)かっこいいと思っちゃいました」。

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