加藤清史郎 急成長の陰に海老蔵
“初代・こども店長”加藤清史郎(14)が歌舞伎に初挑戦した「六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事』」(宮藤官九郎脚本、三池崇史演出)が23日に千秋楽を迎え、デイリースポーツの取材に応じた。最近は同舞台で共演した市川海老蔵(37)のブログにツーショット写真が掲載され「イケメンになった」「めっちゃ大人になった!」などと驚きの声が殺到し、話題となったが、子役からの急成長には、海老蔵、中村獅童(42)の影響があった。
4日に14歳の誕生日を迎えた清史郎は現在、中学2年生。1月末のけいこ場取材時に比べ、大人っぽくなったのは、変声期で声変わりしただけではなかった。
2月の東京公演、8月の名古屋公演をへて、大阪公演で幕を閉じたクドカン脚本、三池監督演出による同舞台。海老蔵自身のセリフ「歌舞伎って荒事じゃん。何でもありでしょ」にあるように、アドリブ連発。23日の昼公演では、千秋楽でヒートアップした獅童を軸にした「無茶ぶり」(清史郎)のアドリブ攻撃で20分も芝居が延びたほどだった。
「毎日毎日、(アドリブで)違うので、苦労しました。海老蔵さんや獅童さんのアドリブに、思わず吹いたり。ついていくのが難しくて、必死でした」。
1月のけいこでは「水筒の水を飲むだけでも緊張します。音をたてちゃいけない、って」と話していたが、今や舞台上で予期せぬセリフでいじり倒され、振り回されながらも食らいつき、堂々の姿だった。
「海老蔵さんのオーラも目力もすごくて、最初は怖かったんですが…すごくいい経験になりました。度胸もつきました。(アドリブには)困ったけど、お客さんを楽しませるということが、今までになかった経験。舞台の上での対応の仕方も勉強になったし、自分でも気付かないうちに変わった気がします」。
海老蔵と獅童という“怪物”2人との共演が、子役から少年への階段を一気に上る転機となった。
歌舞伎版「スター・ウォーズ」の要素を織り込んだ舞台。清史郎は与駄(ヨーダ)と海老蔵の弟子、市川鯛蔵の2役を演じた。名古屋公演からは、与駄の歌舞伎風メークについて、歌舞伎役者は自分で舞台化粧を施すことから、海老蔵に「自分で描けよ。描かなければ明日の公演から、俺、口きかねえから」と“愛のムチ”。大阪公演ではすべて自分でできるようにもなった。
舞台を見た人の中には本当に海老蔵の弟子になったと勘違いし、「『(海老蔵さんの)部屋子になったの?!』と声をかけられたこともありました」と笑顔。「子供」から「少年、オトナ」への転換期は、子役の誰もがぶつかる壁。清史郎は“子役の壁”にうなずきながらも、「学業も頑張って、お芝居と両立させたい」としっかり前を向いた。