組織委、佐野氏原案を公表
20年東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、都内で会見し、ベルギーのリエージュ劇場のロゴと酷似していることが問題となり、使用差し止めを求めて提訴されているアートディレクターの佐野研二郎氏(43)がデザインしたエンブレムについて、選考過程の経緯を説明した。
選考はまず審査委員8人が残したい作品にコインを置いていく形で行われ、当初の104点から37点、14点、4点へと2日間をかけて絞られていった。残った4作品からは審査委員の議論によって絞られ、最終的に佐野氏のものに決定した。
会見では佐野氏の当初原案も公表された。その原案は日の丸の赤が右下にあり、「L」型にはなっていなかった。しかし、商標登録手続きの中で若干の類似性があるものが見つかり「このまま提出することは断念した」(武藤事務総長)という。その後、2度の修正を経て現在のものに決定した。ただ、審査委員の1人は、「審査で選んだのは原案」として、現在のエンブレムの承認は拒否したという。
審査委員代表を務めた日本グラフィックデザイナー協会特別顧問の永井一正氏は「リエージュ劇場のものとは発想、思想、造形すべてが違う」と、説明した。