江原・中原夫妻 山本・今井両巨匠に感謝
俳優の江原真二郎(78)・中原ひとみ(79)夫妻が29日、東京・新宿のK’s cinemaで、朗読を担当したドキュメンタリー映画「薩チャン正ちゃん 戦後民主的独立プロ奮闘記」の初日舞台あいさつを行った。
映画は1950~60年代の映画独立プロ黄金期を、数々の名作を世に送った山本薩夫監督、今井正監督の両巨匠を中心に描く作品。 山本監督の「にっぽん泥棒物語」、「戦争と人間」三部作に出演した江原は、東映のスタッフルームで初めて会った時に「君、こないだの『切腹』良かったよ」と言われて「先生、僕『切腹』出てません…」と答えたエピソードを披露。
「にっぽん泥棒物語」では本番中に山本監督が「ワハハ」と笑いだし、「先生、本番中です」と言うと「今の芝居、良かったから、そのままやってくれ」と指示されたという。「戦争と人間」では一転、「渋い顔で笑顔を見たことがなかった。そういう雰囲気を作ってらっしゃった」といい、「豪傑だけど繊細。今考えますと、意識的になさっていたんじゃないか」と思い返していた。
中原は「怖い」と聞いていた今井監督が「純愛物語」では「あんまりスラスラOKになるので『妥協しているんじゃないか』と心配で、カットの時にチラッと見ると『バンビ(中原の愛称)、1回でOKになった方がいいんだよ』とおっしゃってくださった」というエピソードを披露。
また、中原は山本、今井両監督とともに当時のシーンをリードした家城巳代治監督作品の常連で、「その作品があるから今がある。特に影響された作品です。(山本、今井)両監督と家城先生と3人、生きざまにすごく影響されました。そういった監督さんの影響を受けたから今がある。このトシまで俳優を続けられているのは両監督(と家城監督)のおかげ。一緒に仕事をさせていただいたのは私の宝物」と、恩師に感謝していた。