元BOOM山川ら 糖尿病基金に寄付
元ロックバンド「THE BOOM」のベーシスト・山川浩正(50)ら、1型糖尿病患者3人で結成したバンド「1-GATA」が4日、大阪府吹田市の大阪学院大学で、シングル曲の収益金を、同病の研究基金として寄付するため贈呈式を行った。
日本IDDMネットワークに9月に寄付した10万円に続き、この日は31万円を寄付した。1型糖尿病は、一般的な糖尿病(2型)と違い、年齢や生活習慣に関係なく突然発症し、毎日数回、注射などでインスリン補充を行わなければ、生命に関わる病気。災害などの際はインスリンの確保が切実な問題となる。
山川は「インスリンを打てばライブでも何でもできることをポジティブに示したい。絶望する必要は全くない。でもインスリンを打つ以外の治療は過去1例もないのも事実です」と訴えた。
同バンドは1型糖尿病への理解を深めるため今年1月に結成。当初は「ミュージシャンとして寄付を音楽より前に出すことに抵抗があった」と、今回の寄付金贈呈式のような形式も控えていたという。
しかし最近になって、今年4月に周囲の病気への認識不足などで適正な治療を受けられなかった小学生男児が死亡する事件があったことが発覚。山川は「こんなことが起こったのを見て、音楽ありきで遠回りもしていられないと思いました」と、ライブ会場での募金箱設置や、パンフレット配布など、積極的な啓発活動を行う必要性を感じたという。
THE BOOM時代の昨年2月、48歳で発症した山川は「僕の場合は急性発症で、前の年の健康診断では何も異常なかったのに、2カ月ほど調子が悪いなと思っていたら体調不良になり、入院して検査を受けて分かったんです」と説明。ほかに1~2週間での劇症での発症ケースもあるという。
同バンドは、昨年に同病のシンポジウムで知り合った、同大OGでかつて都道府県対抗駅伝などで活躍した中新井美波(24)と、ミュージシャンの吉田敬(36)の3人で結成。
現在はシングル曲「キミ」など2曲をリリースしているが、子供患者らから手紙が届くことから、今後は子供と一緒に歌える楽曲制作も目指す。