岡田奈々40年ぶりヒロイン映画は地方発

 「なんで“なぁちゃん”が『40年ぶり』なんだよ!」と、この記事の見出しにツッコミを入れてくださった世代の方々には、1970年代に一世を風靡(び)した「岡田奈々」という、AKB48のメンバーと同姓同名のアイドルがいたことをお伝えしたい。女優・岡田奈々(57)の主演映画「恋」が、4月2日から東京(新宿・K’s cinema)で初公開される。

 同作は山口県下松(くだまつ)市の地方発信映画として2014年に製作された。脚本は、今年の日本アカデミー賞最優秀脚本賞を「百円の恋」で獲得した足立紳氏が担当。「百円-」は同県の周南「絆」映画祭で制定された松田優作賞の第1回受賞作でもある。

 監督は周南市にある徳山大教授の長澤雅彦氏。90年代は岩井俊二監督作品のプロデューサーを務め、00年代は堺雅人、長瀬智也、堤真一、反町隆史、山崎努といった俳優が主演のメジャー作品を立て続けに監督。10年代から拠点を山口県に移し、前作「遠くでずっとそばにいる」(13年)に岡田が出演した。

 「恋」は山口県では1館での1日1回上映にも関わらず、2週間で3000人を動員。口コミで評判が広がり、神戸元町のアーケード商店街にあるミニシアター「元町映画館」で上映後、満を持しての東京公開となった。

 山口から神戸を経て東京に着いた手作りの映画。岡田は「百円の恋」で安藤サクラの父を演じた伊藤洋三郎とのW主演で、下松の自然や町並み、祭り、食べ物、そして、ゆったりと流れる時間の中、50代半ばの男女による大人のラブストーリーを繰り広げる。岡田にとって主演級のヒロインを務めた映画としては、初出演でエランドール新人賞を受賞した76年公開の「青春の構図」(松竹)以来、実に40年ぶりとなる。

 「恋」のプロデューサー・大橋広宣氏は「百円の恋」を生んだ周南「絆」映画祭の実行委員長でもあり、松田優作賞の選考に携わった。「『恋』は『百円の恋』と兄弟姉妹のような作品です。『百円の恋』も一部、海岸のシーンは下松市で撮影していますが、周南地域で同時期に2本の映画が具体化していったのは、松田優作さん言われるところの『偶然ではなく必然』だと思っています」と語る。伊藤も89年に松田さんが最後に演出した伝説の舞台「モーゼル」に主演した俳優。“優作のDNA”を引き継ぐ作品との縁は深い。

 一方で、華やかな世界に生きた元アイドルが、地域に根ざして地道に生きる女性を等身大で演じた点も見もの。大橋氏は「永遠の青春のアイドル・岡田奈々さんにとって久々のヒロイン役。素晴らしいです」と、昭和に青春期を過ごした世代として感慨深げだ。

 岡田は公開初日の2日に長澤監督、足立氏、伊藤と共に上映館での舞台挨拶に登壇。公開は15日まで。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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