日曜朝の人気番組「ワイドナショー」（フジテレビ系）発、期待のルーキーがこの４月から活動を本格化させる。マフィアが日常的にいるメキシコでの幼少期について熱く語り話題になった杉山セリナ（１８）だ。番組での過激な発言が業界内で注目されたが、実際の彼女は研究熱心な勉強家。父がメキシコ人、母が日本人というハーフタレントの新星に迫った。

　たった２回の出演で「ワイドナショー」に爪痕を残した。若者目線の意見を発信する「ワイドナ現役女子高生」としての立場で出演した杉山は初出演となった２月２１日放送回で、幼稚園の年長から小５まで育ったメキシコの町・トレオンがいかに危険かということを力説した。「マフィアも警察に見せびらかすように生首を並べる。本当にイカれた奴らだなと常に思っていて」と語ると、番組コメンテーターの松本人志は目を白黒。「専門家の方に座って！制服着てしゃべることじゃないわ」と突っ込まれ話題となった。杉山とすれば「私にとっては普通のことだったので。日本っていいところなんだなというのを再確認できた気持ちです。意識して言ったわけじゃなかったんですけど…」という“普通の発言”が、メディアで取り上げられることもあった。

　こうしたやり取りがきっかけになりオーディションは連戦連勝。この４月からテレビ・ラジオの出演は日本テレビの情報番組「ＺＩＰ！」（不定期出演）をはじめ、ＢＳ朝日の報道番組「ＣＮＮサタデーナイト」のキャスター、ＷＯＷＯＷ「サッカー欧州選手権ナビ」、ラジオのＪ－ＷＡＶＥ「ＡＶＡＬＯＮ」と４本に。「ワイドナショー」の出演がきっかけとなって制作サイドに興味を持ってもらえたことも多かった。

　自分自身でも「すごく大きな影響がありました。高校生でこんな体験しているんだと…」と「ワイドナショー」に感謝していた。杉山によると、収録当日も控室で松本や司会の東野幸治といったベテラン芸人が「すごく危ないところに住んでたんやなあ」と漏らしていたという。日本語を含め英語、スペイン語の３カ国語を話せることも含めて、こうした強烈なエピソードが各番組制作者の目にとまったのは間違いない。

　だが、パンチの効いた体験談以外にも、今後に期待できる光る部分は多い。メキシコから帰国して静岡県で生活していた杉山は、中学３年生の時に、英語のスピーチ大会で上京していた際に、たまたま遊びに行った原宿で現在の所属事務所にスカウトされた。それまでは「あこがれはあった」という程度だった芸能界に、「自分のやりたいものを、責任を持ってやりなさい」と両親に後押しされて飛び込んだ。大学受験終了を待って、この春から活動を本格化させた。

　前述のスピーチ大会では、メキシコの貧しい子どもたちが教育を受けられない窮状を訴えて全国３位に入った。この春から上智大学外国語学部英語学科に通う。すでにネイティブレベルの語学力を持つが、「英語を勉強するんじゃなくて『英語で』いろんなことを勉強します」というビジョンを持って学科を選んだ。「自分の引き出しを増やしたい」と第２外国語に未習得のフランス語を選び、テキスト本はこのインタビューを行った部屋にも持ち込んでいた。

　目指すタレント像を聞くと、少し悩んで出した答えが「池上彰さん」だった。世代も性別も、活動分野も違うような気がするが、「誰が見ても興味を持つ。若いからニュースとか報道できないとかじゃなくて、情報もお伝えしたい」と真剣な考えからきている。例えば米大統領選で共和党の有力候補、ドナルド・トランプ氏のフィーバーぶりについても「大統領になったらどういうことが起こるのか、をどうやったら若い人にも伝えられるのか」とキャスターとして見つめている。

　好きな男性のタイプは「自分が何をしないといけないかを分かっていて、全力でやる人が好きですね。女の子が好きというより、興味ないっていう人の方が好きですね」。情報、報道番組の出演が多いことから「毎日ニュースを見たりとか、映画を見たり、はやっているものにアンテナをはったり、海外のニュースを見たりしています。若い人にうけるものと今のニュースで、若い人はこういうのには興味がないんだ、とか」と日々、勉強中だ。

　女子大生になったため、「現役女子高生」としては今後ワイドナショーに出演することはなさそうだが、「すごい面白い番組で、本当に松本さんが素直に思っていることをばんばん言うし、それを話し合う番組なので、出演者として勉強になる番組でした。これからも見たいです。また出演させていただけるチャンスがあればいいなと思っています」と愛着は深い。キャスターとして大きくなって帰ってくることが「ワイドナショー」への恩返しになりそうだ。

　◆杉山セリナ　１９９７年９月２４日生まれ、静岡県出身。特技は英語、スペイン語のほかに剣道。趣味は音楽鑑賞、映画鑑賞、散歩。好きな料理はメキシコ料理。身長は１７０センチ。