NHK柳澤解説委員、がん特集で本音

 NHKの柳澤秀夫解説委員(62)が13日、キャスターを務める「あさイチ」(月~金曜、前8時)で自身のがん体験を振り返った。番組では乳がんの再発を特集。アップテンポのBGMで、明るく向き合うがん患者を取り扱うことに「最近よく聞く『がんと向き合っていきましょう』って、耳の中で違和感感じる」と、あえて異を唱えた。

 番組では乳がんを経験し、イベントなどで啓蒙活動をする歌手で女優の生稲晃子のインタビューや、乳がんの再発・治療に明るく立ち向かう一般女性を扱った。

 そんなVTRを見た柳澤解説委員自身も、2007年に当時担当していた「ニュース9」を肺がんで降板し、約1年治療していた経験がある。それだけに「僕も経験者。肺だったんですが、(がんの)2文字が怖いというのと、なぜ?というのも僕にもある。正直、ここで自分のことを話すのもちょっと嫌なぐらいの気持ちはまだあるんですよ」と苦しい胸の内を明かした。

 そのうえで病気に向き合う気持ちとして「個人差がある」とキッパリ。「(病気と立ち向かう女性のVTRの)後半音楽なんかも明るくアップテンポになるじゃない。なんかこういう話で、明るく向き合ってと番組も出来てるんだと思うんだけど、それは病気じゃない人が考える世界じゃないかな」とステレオタイプになりがちな番組作りに警鐘を鳴らした。

 さらに「一度(がんを)経験すると吹っ切ろう、吹っ切ろうと思ってもなかなか振り切れない。最近よく聞く『がんと向き合っていきましょう』って、耳の中で違和感感じる。当事者はそんなもんじゃないよ」と本音をぶちまけた。そのうえで「でもそこを乗り越えようとしているのも、なんとか分かって欲しい。本当は明るくしたいんだよ。でも外からレッテル貼りされたくないな。(明るいがん患者も)いろいろ葛藤を乗り越え、そうなれたんだから」と語った。

 柳澤解説委員は国際部記者として約20年、紛争地域を取材。湾岸戦争時にはイラクに残り、現地をレポートした。2002年から解説委員に。「ニュース9」も担当していたが、肺がんのため降板、治療を経て復帰した。

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