【芸能】元タカラジェンヌ熊本で被災
甚大な被害を生んでいる熊本地震で、1人の元タカラジェンヌが被災した。現在は美容師の夫と2人の子供に囲まれた幸せな生活を送っている平澤麻耶さん…元宙組スターの久遠麻耶だ。平澤さんにとって、阪神・淡路大震災、東日本大震災に続く3度目の震災被災となった。
数々の新人公演で主演し、将来を嘱望されながら、2002年に惜しまれながら退団。04年の結婚後は東京に住んでいたが、2011年に故郷に転居。現在は熊本市南区の美容院「Gre」のオーナーである夫・靖さんと小学3年生の男の子と、2歳の女の子の母として、忙しいが充実した毎日を送っていた。
だがこの震災で生活が一変した。自宅や店舗は無事だったが、水やガスが止まっているので、夫の店はもちろん休業。再開のめどは立っていない。それでも「我が家はまだまし。周りに困って居る方が多くいて、配水も長蛇の列、あきらめて実家の井戸を使わせてもらっています」という。
その実家は、熊本市南区の光徳寺という、関ヶ原の戦い前から続くという古刹。保育園も営み、平澤さんもその手伝いをしていた。本堂そのものは大きな被害はなかったが、庭にある石塔や内陣の仏像なども倒れてしまった。自宅よりも被害は大きく、平澤さんはその片付けを手伝っている。
また宝塚時代の知り合いだというボランティア団体が、熊本に到着。余った品を、平澤さん宅に置いていってくれた。だが「それを私が頂くわけにはいかない。もっと困っている方がいるので、自宅や実家のご近所の方で必要な方に全部配りました」と手元には残さず分け合ったことを明かした。
もちろんタカラジェンヌ時代の同期や先輩や後輩からも次々と連絡が来た。「すぐに連絡したら迷惑だろうと思って…でも連絡せずにはいられなかったって。退団後初めて連絡してくれた人もいた。本当に宝塚時代に知り合った人は宝物です」と感謝する。
1995年の阪神・淡路大震災は初舞台から2年目。宝塚大劇場復興第1作となった星組「国境のない地図」にも出演した。「お客さんも少なくて、それでも再び舞台に立てる喜びを覚えています」と振り返る。もちろん今回も同じだという「日本の力はすごいです。みんな困っているはずなのに、大丈夫って言い合っている。あのときも不安でいっぱいだったけど復興した。今回も全国の皆さんが熊本を応援して下さっているを感じます。必ず熊本は復興します」と力強く語った。
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久遠麻耶(くおん・まや) 1976年8月27日生まれ。94年宝塚歌劇団入団。星組を経て、98年に宙組創設メンバーに。「激情」など3作品で新人公演に主演。170センチの舞台映えする容姿と愛くるしい笑顔、卓越したダンスで将来を嘱望されていたが、02年に退団。退団後はディズニーシーでダンサーやヨガのインストラクターを務めていた。04年に結婚。現在は熊本在住。