イチロー仲間の祝福に「泣きそうやね」
「メッツ3-7マーリンズ」(29日、マイアミ)
マーリンズのイチロー外野手(41)は「7番・左翼」で出場し、4打数1安打3打点。八回に移籍後初本塁打となる1号3ランを放ち、打率を・263とした。
その『声』はしっかり耳に届いていた。ファウルを打つたびに大きくなる歓声がいつしかイチローコールの大合唱に変わった。4-3の八回1死一、三塁の好機。中継ぎ左腕、A・トーレスに対し、カウント1-2と追い込まれながら8球目、内角150キロ直球を完璧にとらえた。
「三振はできない、という感覚ですね。なに投げてくるかさっぱり分からない。どれも可能性があったので(球種を)絞ることはできなかった。とにかく、前に、インプレーにしたいという思いでしたね」
一塁へ走りながら打球が右翼席へ飛び込むのを確認。ヤンキース時代の昨年7月25日のブルージェイズ戦以来、76戦202打席ぶりとなった本塁打を「『イッタ!』ですね、カタカナで。(スタンドインは)途中で分かったので」と表現した。
大歓声が渦巻く中、気持ちよさそうにダイヤモンドを回る。ベンチに戻ると仲間たちにもみくちゃにされた。「尊敬されてるのか、なめられてるか、わからない」。観客総立ちのカーテンコールにはベンチからスタンドに向かって右手を挙げて感謝した。
試合後のクラブハウス。日米通算得点で王氏のもつ日本プロ野球記録を抜いた25日の試合を思い返しながらイチローがしみじみ話す。
「こないだの得点の時もそうですし、チームメートや監督、コーチがいろいろしてくれたり、僕が考えていないこと、想像していないことをやってくれるので、こたえられてよかったなと思います」。
“記録更新”の翌日に生還したホームベースをプレゼントされた際にクラブハウスで撮影した集合写真にも触れながら「あれだけみんながうれしそうにしてくれるところなんて見たことないし、そのことにただただ心を動かされてる感じですね。あんなに喜んでくれたら泣きそうやね」とまで言った。
正左翼手のイエリチが腰の張りで故障者リスト入り。この日のイチローは2012年7月以来、約3年ぶりに9日連続でフル出場を果たした。26日の試合の第4打席からこの日の3打席目まで11打席連続で結果が出ていなかった。「あした休みだから1本出しておきたいなというのはあるよね。感覚がいい、悪いとか、そんな後ろ向きなものはない」。いい打撃感覚をもち続けていることを明かした。
同地区の首位を走るメッツに連勝し、3カード連続勝ち越し。借金は「2」となった。30日は10日ぶりの休養日。心身ともにリフレッシュしてイチローが5月の戦いに挑む。