イチロー厳しい判定「審判上手すぎる」
「マーリンズ3-5ブレーブス」(16日、マイアミ)
マーリンズのイチロー外野手(41)は「6番・左翼」で5戦ぶりに先発出場し、4打数1安打、1三振。打率を・281とした。メジャー通算安打数を2871本とし、歴代42位のベーブ・ルースの記録まであと2本に迫った。チームは連敗し、借金は5となった。
第1打席の初球を見てこの日は厳しい戦いになると予想した。初回、2死満塁の好機。ボールと判断して見送った142キロの内角高めシンカーをストライクと判定された。
「審判が上手(じょうず)すぎる。ああされると(打者は)どうしようもない」
相手先発は初顔合わせの左腕、A・ウッド。左打者への内角のシンカーは武器の1つ。38歳のベテラン捕手、ピアジンスキーがこれ幸いとばかりに内角球をさらに要求した。
ヒットにするには難しいコース。しかし、黙っているわけにはいかない。ヒットになる可能性を模索する。イチローが見出した答えは、内角球をぎりぎりまで引きつけてバットの根っこで左方向へ弾き返すこと。技で対抗するしかなかった。
2球目も同じ球速と球種がほぼ同じコースに入ってきた。詰まった打球は三塁手の正面(結果は三封)。最善を尽くした結果の凡打だった。六回無死一塁の場面の三塁ゴロも内角速球を左方向へ打ち返したもの。慌てた三塁手が打球を弾くエラーを犯した。
意地を見せたのは三回の打席だ。カウント1ボール2ストライク。やや内寄りの142キロシンカーでバットの芯を外されながらもヒットにした。投手の右側に力なく転がった打球。相手投手が試みたグラブトスの送球が大きく逸れる間に一塁を駆け抜けた。
しかし、その直後にウッドの巧みなけん制球に帰塁し切れずタッチアウト。反撃に転じたい3点ビハインドの八回、1死一塁の打席では中継ぎ右腕、ジョンソンの外角高めの151キロシンカーに見逃し三振。誰が見ても明らかなボール球。コールの瞬間、天を仰ぎ、顔をしかめた。1打席に懸ける思い。審判とすれ違いざまに見せた鋭い眼光は怒りに燃えていた。ベンチ内のレドモンド監督も顔を真っ赤にして不満をあらわにした。
この日は、打率・186と精彩を欠く正左翼手のイエリチに休養日が与えられた。ここまで全37試合に出場(途中出場15試合)し、105打席に立っているイチロー。チームにとって不可欠な存在であることは言うまでもない。