元OPBF王者・大沢が移籍初戦で勝利

 「ボクシング10回戦」(9日、ボディメーカーコロシアム第2競技場)

 元OPBF東洋太平洋フェザー級王者の大沢宏晋(29)=ロマンサ雅=がタイ国内スーパーバンタム級1位のノーンディア・ソーバンカル(19)を3回2分10秒でKOし、ジム移籍初戦を飾った。

 初回から狙い通りに、左ボディーで出足を止めた。徐々に表情をなくす相手を仕留めたのは3回だ。左右の連打でコーナーに詰めると、左ボディーで鮮やかなダウンを奪った。立ち上がった相手に怒とうのラッシュを浴びせ、ひざまづかせると、レフェリーが試合をストップした。

 7月に大星ジムからロマンサ雅に移籍。「今回が移籍して初戦だし自分にプレッシャーをかけてやった。ゴタゴタもあったけど、これが区切り」と新生・大沢は満点の再スタートを切った。

 2012年12月、当時はJBC(日本ボクシングコミッション)未公認だったWBOアジア王座の防衛戦をノンタイトルと届け出て、行ったことでOPBF王座を剥奪され、1年間のライセンス停止の重い処分が科された。

 「今思えば、自分を見つめ直すいい期間だったかもしれない」と、辛い1年も決してくさらなかった。

 昨年12月にライセンスが再交付されてから、これで復帰3連勝。周囲は「パワーアップした」と口をそろえる。体全体に湿疹が出る持病があったため、免疫抑制剤を飲んでいたが、1年前から皮下注射に切り替えたことが、力強さの要因だ。

 「薬を飲んでいると、練習でも思ったようにできないし、力も抑えられていた。今は抑えられていた力が解放された感じ。俺、こんな動きができたんや!と今は感じる」。29歳とボクサーとしてはベテランの域に入るが、進化を続けている。

 ロマンサ雅の田中雅晴会長は「試合ではこっちの指示通りに動いていた。それはさすが。技術、経験、練習姿勢すべてがジム生のお手本。本当に存在が大きい」と目を細めた。

 大沢も「昔からお世話になってきた田中会長が拾ってくれた。自分が先頭に立って、ジムを引っ張りたい。田中会長を男にして引退したい」と誓った。

 介護士ボクサーとして有名でファイトマネーはデビュー戦以来、大阪市、身体知的障害者団体等に全額寄付している。12年には念願の介護施設も大阪市内に設立した。「きょうも(勤務先の)おばあちゃん、おじいちゃんが来てくれた」と応援に感謝した。

 現在OPBF、日本ともにフェザー級12位。次戦は来春、世界ランカーを予定する。「年齢的に見ても勝負をかけていく。もう1回世界の舞台を狙えるように勝負する。フェザーでもスーパーバンタムでもいい。新たに台風の目となって騒がせられれば」。1年のブランクを乗り越え、大沢に再び世界が視野に入ってきた。

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