山本隆寛、亡き母への王座ベルト誓う
ボクシングの東洋太平洋バンタム級王座決定戦(4月5日、大阪市ボディメーカーコロシアム)を行う同3位・山本隆寛(24)=井岡=が19日、大阪市内で会見し天国の母にベルトを捧げることを誓った。同4位の川口裕(27)=グリーンツダ=を相手に初タイトル戦に臨む。
最愛の母・末子さん(享年53)が肺がんのため亡くなったのが10年の9月、19歳の時。試合の2日前で「あの時ほどつらかったことはない」と悲しみに耐え勝利を飾った。
「子供が殴られるのを見たくなかったんでしょう」とボクシングには反対された。高校入学と同時にバイトし尼崎ジムへ「勝手に」入門。そこからは心配しながらも応援してくれた。「とにかく前向きで、いつも明るい母だった」と今も母の笑顔は心に残る。「母には1番、ベルトを見せたい。あと、母がいない中、ずっと応援してくれた父に」と恩返しを期した。
11年夏に尼崎ジムから井岡ジムに移籍。元2階級王者・井岡一翔、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮ら強豪ぞろいの環境で、意識も技術も高まった。
「練習量もすごいし、見てるだけで参考になる。早く追い付き追い越す。ここは通過点。世界王者になる」と目標は高い。
川口はスパーリングで何度も手を合わせた仲。手の内を互いに知り尽くす相手だが負ける気はしない。「会見で引退覚悟という風に話していた。そういう覚悟なら引退してもらいます。スピード、パワーで僕が勝っている。圧倒的なKOで勝ちます」と引導を渡すつもりだ。
戦績は18戦15勝(12KO)3敗。井岡一法会長は「防御面がここ1年で井岡ボクシングになってきた。今、隆寛は乗りに乗っている。瞬発力、爆発力はすごいから」とベルト奪取に太鼓判を押した。