闘病支えた高山「センスはピカイチ」
慢性骨髄性白血病のため24日に死去した17歳のプロボクサー・服部海斗さんの通夜が25日、大阪市阿倍野区の斎場でしめやかに営まれた。大成ジムの同僚で親友のWBAアジアミニマム級王者・加納陸(17)、IBF・WBO世界ミニマム級統一王者・高山勝成(31)=仲里、元2階級王者・井岡一翔(25)=井岡=ら約400人が参列し、早過ぎる別れを惜しんだ。
祭壇にはデビュー戦時のガウンとトランクスが掲げられ、棺には死去する直前に丸元大成会長から贈られた東洋太平洋王座ベルトが納められた。
加納は「互いに高め合える存在だった」と涙をこらえきれずに話した。16歳で同時に海外デビュー。「海と陸」のドキュメントはテレビでも放映され、世界王者になることを互いに誓い合ってきた。
先週、携帯メールで「今が一番頑張り時。戻ってくるの待ってるで」と伝えると、返信はなかったが既読になっていたという。「安心していたけど…」と無念さに言葉を詰まらせた。「俺は俺の夢をかなえる。天国で海斗がおめでとうと喜んでくれたらいい」と世界王座奪取を誓った。
所属ジムの丸元会長は「向こうでチャンピオンにならなあかん」と別れの言葉。「ベルトを海斗にあげるのは決めていた。アジアタイトルで申し訳ない…。ジムの若い子にも言ったけど、しんどい練習して、もがいて悩んでボクシングできるのがどんだけ幸せか、分かったと思う。海斗は(死去の前)1週間くらいずっと心拍数90やった。ずっと24時間、ランニングしてるような状態。海斗に比べたら、しんどい練習なんか屁(へ)でもない」と目を腫らした。
家族も悲痛だ。父・兼司(けんじ)さん(47)は自身もグリーンツダジムでボクシングを行い、海斗さんの兄・力斗(20)も現在、熊本でプロボクサー。
「まだ夢の途中。寝るのはもういい。早く起きろ。兄弟そろってリングに立つ約束していたのに。あきらめきれない。あいつが逝ったなんて全く思っていない。呼びかけたら起きそうな気がしてならない」と、父は繰り返した。兄は「海斗の頑張りを忘れず、覚えとったって下さい」と大勢の弔問客に頭を下げて泣いた。
スパーリング相手として親交のあった王者・高山は試合会場などで募金を集め、闘病を支援してきた。「海斗のことを知っているすべての人を見守ってや」と伝えた。
高山は「小学低学年から知っているけど、センスはピカイチだった。(スパーの時は)プロはどんな窮地でもあきらめない、根性だ、と伝えたつもり。海外で1試合でもリングに立てたのは良かった。僕も他の選手も一日一日、悔いなく戦っていくというのを海斗から教えられた」と語り、次戦の防衛戦は喪章を付けて戦うことも明かした。
一翔は直接の交流はなかったが、闘病を応援するメッセージを書くなど回復を願ってきた。「日本ボクシング界のみんなは、間違いなく海斗君の遺志を受け継いでいく。彼のためだけではないけど、日本で現役のボクサーでやっている選手はその思いで頑張る。若すぎる年。無念な気持ち。それだけ」と、つらそうに話した。
服部さんは17歳未満は国内のリングに立てないため、13年12月に海外でプロデビュー。U-15全国大会に優勝するなど将来を嘱望されたボクサーだったが昨年3月、病気が発覚した。父の骨髄を移植する手術を受けるなど一時は回復傾向にあったが再発。年明けから容体が悪化し、帰らぬ人となった。
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