女子ボクシング好川が難病の少年を訪問

 「ボクシング・WBA女子世界ミニマム級タイトルマッチ」(4月29日、大阪府堺市産業振興センター)

 元東洋太平洋女子ライトフライ級王者・好川菜々(36)=堺東ミツキ=が11日、筋肉が骨に変わる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘う明石商高3年の17歳、山本育海(いくみ)君と対面した。夫・野上真司氏とともに慈善活動を精力的に行っており今回、知人を通じて、初めて兵庫県明石市の自宅を訪れた

 29日、プロ5戦目で王者アナベル・オルティス(28)=メキシコ=を相手に世界初挑戦。大一番を前に会談は2時間にも及び、逆に勇気をもらった。

 「彼は命懸けの勝負をしている。それに比べれば2分10ラウンドと決められた時間の戦いで苦しいなんて言ってられない。強いチャンピオンを相手にチャンスをつかむまで苦しく耐える時間が続くかもしれないけれど彼の姿を見て、必ず耐え忍んで撃ち落とす。気持ちで攻め落とします!“戦友”に勝利を捧げたい」と誓った。

 山本君は小3時に発症率200万人に1人と言われる治療法のないFOPと診断された。全身を激痛が走り、刺激や疲労で骨化が進行し、現在は背骨の周り、脇腹、肩甲骨に骨ができている。

 母・智子さんとともに著書『神様からの宿題』を出版するなど、啓発活動を行ってきた。また皮膚の細胞を提供し、iPS細胞の研究で知られる京大・山中伸弥教授が治療に取り組んでいる。

 山本君は訪問に感謝し、「スポーツも病気も戦っているのは一緒。好川さんたちを見てさらに頑張る勇気をもらった。絶対世界チャンピオンになってもらいたい」とエールを送った。

 サポートする母は「一般の方の頑張る形は目に見えるけれど、育海の頑張る形はとにかく痛みに耐え、我慢をする、薬ができるのを待つこと。彼は未来に希望を持ちながら必死に耐えて頑張っている。自ら表に立って皆さんに少しでも難病のことを伝えたい、そして今後の難病を克服する道にしていきたいと思っている」と力を込めた。

 好川の夫・野上氏は持病のうつ病を抱えながら、好川を支えてきた。慈善活動を評価され、夫婦は3月、WBCからベストカップル賞を贈られた。「二人三脚で歩む母と育海君の2人は、私たちと比較にはならないけど通じる部分はあった」と力をもらった様子で話した。

 試合当日は会場で山本君を支援する募金活動を行い、好川のファイトマネーの一部も寄付する。

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