名門復活へ…グリーンツダ8年ぶり王座
「最後は気持ち」-。まさにその言葉通りの勝利だった。5日、大阪府立体育会館で行われたボクシングの東洋太平洋バンタム級王座決定戦12回戦。同級2位・川口裕(28)=グリーンツダ=が同級1位・山本隆寛(24)=井岡=を僅差の判定2-1で破り、新王者に輝いた。
勢いの山本か、経験豊富な川口か、実力はきっ抗。前評判通り、序盤から強打で押す山本を川口がしのぎながら、パンチを的確に返す展開となった。
接戦の行方を左右したのが東洋太平洋王座戦が採用する公開採点制度。4回を終え、途中採点は1人が40-36で山本、2人が38-38イーブン。川口は「終盤勝負の作戦通り」と焦りはなかった。
中盤も一進一退の攻防は続いた。8回終了の途中採点は2人が77-75で山本、1人が76-76イーブン。
あと4回をドローでも勝利する山本は「もっとリードしていると思った」と誤算。逆に追い詰められたはずの川口は「行くしかない」と吹っ切れた。
グリーンツダ・本石昌也会長が「3ポイント差なら残り全ラウンドを取らないといけなかった」と言うように、デッドラインの2ポイント差で踏みとどまったのも大きかった。
もとより終盤勝負。9回、左フックを好打しポイント奪うと流れは傾いた。「負ければ引退」を期す川口の気迫と執念は、逃げ切れば王座に届く山本を後退させた。
会場は両陣営の大コールが真っ二つに割れた。山本の同僚、世界3階級王者・井岡一翔は守っては王座をつかめぬことを知り尽くしていた。リングサイド席から立ち上がり何度も「隆寛、獲るんやろ、隆寛!」と必死に声を張り上げた。
11、12回、両者に決め手はなかった。運命の採点。116-112で川口、115-113で山本と割れた後、最後は「115-113、新王者は川口!」とコールされた。
勝敗はどっちに転んでもおかしくなかった。強いて挙げるなら鬼気迫る、背水のファイトが見る者の心に訴えた。その差が逆転の2ポイントとなった。
昨年4月に会長に就任した本石会長は言う。「強い井岡ジムに勝った。その意味は僕にとって大きい。やっとチャンピオンを育てる環境ができた」。
07年に丸元大成(現丸元ジム会長)が東洋太平洋ウエルター級王座を失って以来、8年ぶりに王座ベルトをグリーンツダにもたらした。井岡弘樹ら3人の世界王者に加え、浪速のロッキー・赤井英和を輩出した名門が復活へ大きな一歩を刻んだ。(デイリースポーツ・荒木 司)
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