前原、石田元王者暫定王者の個人指導
「ボクシング・東洋太平洋&日本ミドル級タイトルマッチ12回戦」(11月9日、後楽園ホール)
東洋太平洋同級1位、日本同級5位の前原太尊康輝(22)=六島=が29日、東洋太平洋&日本同級王者・柴田明雄(33)=ワタナベ=に挑む「2冠王座戦」に向け、大阪市内でスパーリングを公開した。元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者・石田順裕氏(40)を“2回TKO”で仕留め、柴田撃ちのリハを完了させた。
1ラウンド目から左ボディーをさく裂させ相手の顔をゆがませた。石田氏も技術で対抗するものの、馬力に勝る前原がコーナーに詰め、強打で圧倒した。
2ラウンド目は石田氏が意地の猛反撃。リング中央で足を止め、ガードの隙間をこじあけ連打。6月に引退を表明し、ほぼトレーニングを行っていない40歳ながら、元世界王者の貫禄を見せ付けた。
だがスタミナを使い切った。予定の3ラウンドを前に枝川孝会長から「もう無理やろ」と助け船。あっさり、「ありがとうございます」と白旗を上げた。
石田氏のスパー教室はこれが6度目。最初の1、2回は軽くあしらっていたが、「プレスが強い。パンチもあって、やっていて怖い。どんどんやりにくくなって、どんどんしんどくなっていった。もうスパーするのが嫌で嫌で」と、22歳の急成長に舌を巻く。
世界経験豊富な元王者は「マニアックだけど前原はヒルベルト・ラミレスに似ている」とミドル級の若手有望株のメキシカンに例えた。柴田はアウトボクシングを得意とする歴戦の王者ながら「チャンスはある」と、前原の勢いに期待した。
関西の中・重量級の系譜は、日本スーパーウエルター級王座を10度防衛した大東旭氏(現渥美ジム会長代行)から石田氏へと受け継がれてきた。「僕が大東さんに勝ってバトンタッチし、今、前原に伝えられたと思う」と、新時代を託した。
“免許皆伝”を受けた前原は、大先輩に感謝しかない。「初めは引退した人が何でこんなに強いのか、と思うくらい自信をなくした。『柴田もこれくらいや』と言われて寝られなくなった」と言う。
しかし、スパー後に石田氏から教わる一言アドバイスを、次のスパーで修正。「本当に家庭教師みたいだった。言うだけでなく身を持ってリアルに感じられるので身に染みました。体を通して学んだ」と英才教育の日々を振り返った。
戦績は11戦9勝(9KO)1敗1分で7戦連続KO中の左の強打者。「柴田は現役王者だけど、これ以上ない圧力の中で自分はやってきて慣れている」と、自信満々。アウトボクシング対策も入念に行ってきているが打撃戦を希望。「リングは回るもんちゃうで。向き合って打ち合うところや」と挑発した。
勝てば2冠に加え、世界ランカー入りも濃厚。王座奪取に成功すれば来年、ミドル級の日本選手を総なめにし、再来年には世界に打って出る青写真も描く。ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(帝拳)を追うホープながら、「村田さんには興味がなくなってきた。世界で強い外国人とやりたい」と、大きな野望をぶち上げた。
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