前原が柴田にTKO完敗…2冠獲り夢散
「ボクシング・東洋太平洋&日本ミドル級タイトルマッチ」(9日、後楽園ホール)
タイトル初挑戦の東洋太平洋同1位、日本同5位の前原太尊康輝(22)が同級2冠王者・柴田明雄(33)=ワタナベ=に7回1分31秒TKOで完敗し、2冠獲りの夢は散った。連勝は7でストップし、戦績は9勝(9KO)2敗1分け。
敗戦後、控室で大声を上げ号泣。「自分が情けない。やることはやってきたし自信はあったけど、完敗です。あっぱれです。正直、経験不足です」と王者との力の差を認めた。
身長190センチの大型ホープ。破壊力抜群の左で7戦連続KOし、東京に乗り込んだが、36戦目の王者の技術と経験に翻弄(ほんろう)された。
1回、素早い出入りをとらえられず、被弾。打ち終わりを狙ったが、パンチは空を切った。3回には足がそろったところに右ストレートを浴び、ダウンを奪われた。
4回終了の途中採点は3者とも35-40と、フルマークでリードされた。5回にようやく自慢の豪打がヒットする。左ボディーを連打し、柴田をロープに追い詰めた。
だが反撃もここまで。6回に右を顔に浴び、グロッキー寸前になり、スタンディングダウンを奪われた。7回、連打を食らうと、耐えきれない。フラフラになりレフェリーが割って入った。
「うまかったです。びっくりするパンチはなかったけど、ノーモーションで打ってくるから狙う前にパンチを当てられた。イライラした部分もある。最初から接近戦でガンガンいけば良かった」と肩を落とした。
枝川孝会長は「動きが固かった。5回のボディー攻撃をもっと早く出さないといけなかった」と、王者のペースにさせたことを悔やんだ。
ミドル級でロンドン五輪金メダリストの村田諒太(帝拳)を追う“浪速のタイソン”。戴冠なら再来年からは村田同様、米国に打って出るプランもあったが、遠のいた。
まだ22歳、ボクシングを始めてまだ4年。「応援してくれる人がいる限りどこまでも頑張ります」と経験を糧にはい上がる。