久保隼が5回KOで東洋太平洋新王者
「ボクシング・東洋太平洋スーパーバンタム級王座決定戦」(26日、神戸市立中央体育館)
タイトル初挑戦のホープ、同級3位・久保隼(25)=真正=が東洋太平洋の王座決定戦で同級4位・ロイド・ハルデリザ(20)=フィリピン=を5回1分19秒KOで下し、新王者に輝いた。
「ひょっとしたら倒されるかもと不安だった。いつも通りと思ってたけど、ベルトがかかり、周りの期待もあって緊張していた。勝ったことがうれしかった」と安堵の涙。リング上で山下正人会長と抱き合い、喜んだ。
計3度のダウンを奪う、豪快な戴冠劇だった。1回、自慢の左ストレートをいきなりさく裂させ、ダウン。さらに右フックで相手をリングに倒した。
「1ラウンド目で倒して、いけるわと思ったのが良くなかった」と、2回以降は狙いすぎた。左の打ち終わりに右を合わされ被弾。だがセコンドに「練習通りに行け」と言われ、冷静になった。
5回、ハルデリザが攻勢に出たところに、左ストレート一閃(せん)。相手は大の字にぶっ倒れ失神した。
WBC世界バンタム級王者・山中慎介、ロンドン五輪金メダリスト・村田諒太(ともに帝拳)らを輩出した名門・南京都高(京都広学館高)で主将を務め、村田に誘われ東洋大に進んだエリート。山中をほうふつさせる豪快な左は試合ごとに磨きがかかり、これで9戦全勝(7KO)の快進撃だ。
「ベルトの実感はないけど、何日かしたら実感あるのかな。ここは通過点でありたい。目標は世界チャンプだし、これでようやく折り返し。世界王者の先も見据えている。そう思えば折り返してもいない」と、東洋レベルで満足はしない。
「自信を持って打ったパンチで倒せた。倒せるくらいのパンチがついたやろな、と思った」と、難敵を倒し切ったことは自信。一方でまだ防御面など課題は残し、「ボクシングレベルは目指すところに近づいていない」と、反省も口にした。
マンツーマン指導してきた山下会長は「まだ完成していない。クールにもっと組み立てるようにならないと。あとはキャリア。世界までじっくり育てたい」と、まずは王座防衛を重ねていく方針。ジムの先輩で元世界2階級王者の長谷川穂積(35)を継ぐ、若き真正のエースが誕生した。