中邑が涙の新日本最終戦、聖地熱狂
「プロレス・新日本」(30日、東京・後楽園ホール)
世界に羽ばたくキング・オブ・ストロング・スタイルが感激の涙で別れを告げた。今月限りで退団し、世界最大のプロレス団体WWEに挑戦する中邑真輔(35)が新日本での最後の試合で勝利。最後の雄姿を見に訪れたファンに「ここで生まれ、育ち、培ってきた中邑真輔を、まだ見ぬ世界にぶつけていきます」と宣言した。
前売り券は早々と完売し、この日は200枚の当日券を求めてファンが早朝から長蛇の列を作ったが、100人以上が入手できなかったほどの大盛況。中邑は割れんばかりの“シンスケコール”を受けながら、オカダ・カズチカ、石井智宏と組んだ6人タッグ戦で、ともに新日本を低迷期から支えた棚橋弘至、後藤洋央紀、柴田勝頼を相手に、けいれん式ストンピングなど持ち味を存分に発揮。最後はオカダのドロップキックから自身のボマイェにつなぎ、石井が柴田を仕留めた。
熱狂さめやらぬ中、試合後は「レスラーとして生きている限り、物語は続いていきます、だから、さようならは言いません。ただ、ありがとう」とあいさつし、ファンとともに最後の「イヤァオ」を絶叫。さらに、目を真っ赤にしたオカダら盟友ケイオスの面々が総出で祝福すると、さすがに中邑もあふれる涙を我慢できなかった。
すでに、中邑はWWEの下部団体NXTで4月1日にデビューすることがWWEから発表されている。新日本が再興しつつある中で下した決断を、「この状況になったこと、いろんなきっかけ、出会いが必然として、こういう決断になった。後悔はありません」と説明し、大黒柱の1人を失う新日本の今後にも「自分がいなくても心配ない」と言い切った。
02年のプロデビューから約13年半。自ら「こんなレスラーは他にいないと思う」と評するほど、異彩を放ち続けた。中邑真輔の新たな戦いが始まる。