18歳加納が暫定王座決定戦 狙うは井岡弘越え
ボクシングのIBF世界ミニマム級13位で東洋太平洋同級2位の加納陸(18)が10日、兵庫県三田市内で会見し、5月8日、同市総合文化センター・郷の音ホールで東洋太平洋同級暫定王座決定戦が決まったことを発表した。相手は元WBO同級世界王者で現WBO同1位、東洋太平洋同1位のメルリト・サビーリョ(32)=フィリピン=の強豪で、25勝(12KO)2敗1分けのサウスポーだ。
国内最年少での世界奪取への道が見えてきた。狙うは18歳9カ月でWBC世界ミニマム級王座に輝いた元世界2階級王者・井岡弘樹氏(47)の記録だ。
現王者の熊朝忠(中国)が約半年、試合を行っておらず、異例の暫定王座戦。熊が王座剥奪か返上となれば、試合は正規王座戦となる可能性もある。タイトル奪取なら陣営は記録の期限となる8月下旬までに世界戦を組む方向を固めている。
17歳未満は国内にリングに立てない規定のため加納は16歳で海外デビューした。すべては井岡弘樹氏の記録を逆算してのもの。「決まったと聞いた時はテンションが上がった。気合も入っている。必ずベルトを獲って次は世界に行きたい。負けられないし負けるつもりはないので勝つだけ。これに勝てば記録は見えてくる」と、興奮気味に話した。
過去最強の敵を相手に初の12ラウンド。「強い相手の方が自分の気持ちは上がる。自分のボクシングでベルトを巻く。(12回も)心配ない。タイトルマッチをやるための練習をしてきた。サウスポーの方が得意。かみ合う」と勝利を確信した。
異国では試合直前に相手がサウスポーに変更、計量器に細工など洗礼を浴び、スキルもタフな精神も磨いてきた。14年12月に最年少でWBAアジア同級王座を獲得。昨年6月に国内デビュー戦を3回KO勝利した。同12月に元WBO世界ミニマム級1位、ピグミー・ゴーキャットジム(タイ)に3-0で判定勝ち。通算戦績は10勝(6KO)1敗1分。
親友の死も乗り越えてきた。慢性骨髄性白血病のため昨年2月24日に死去した17歳のプロボクサー・服部海斗さんとは「世界王者」をともに誓い合い、異国でともにプロデビューした。今年の1周忌、手を合わせ「見といてくれよ」と、天国に語りかけた。
「早いような長いような1年だった。自分は今、できることを強い気持ちを持ってやるだけ。(デビューの地)フィリピンに一緒に行ったのを思い出します」と、親友の分も勝ち続けるつもりだ。
元東洋太平洋ウェルター級王者・丸元大成会長も感慨深い。「07年に僕が陥落して、それ以来の東洋にまな弟子が挑戦する。まな弟子が獲得する瞬間に出会えるのに気持ちが高まっています」。
井岡弘樹氏はグリーンツダジム時代の偉大な先輩で越えるのは目標だった。「海外から加納と始まった夢。僕らがやってきたことは間違っていなかった」と、力を込めた。
険しい道を歩み、あと2戦にまでこぎつけた加納。「会長と同じベルトを獲る。隣に並べる」と、まずは5・8に必勝を誓った。