東大中退の異色ボクサー、有川が新王者

 「日本ウエルター級タイトルマッチ10回戦」(28日、後楽園ホール)

 同級1位の有川稔男(31)=川島=が、王者・新藤寛之(29)=宮田=を10回1分46秒TKOで下し、悲願の初王座を獲得した。

 有川は1回から積極的に前に出て、接近からの離れ際に放ったショートの左フックでダウンを奪った。これでペースを握ると、さらに王者に圧力をかけた。

 5回終了時の公開採点では2者が48-46、1者が49-45で有川を支持。後半も王者の反撃をしのいだものの「6回か7回に右の拳を折った。後半まで持ってよかった」とアクシデントに見舞われていた。過去3度も手術を受けている古傷だ。痛みをこらえて闘い続けた10回、連打でコーナーに追い詰めると、王者陣営からタオルが投入された。

 初挑戦でタイトルを獲得した有川は「勝つのは当然として、2つ目標があった。KOすることと、右手を骨折しないこと」と、1つ失敗したことを明かした。東大中退の異色ボクサーは「工夫してきたことの半分もできなかった」と試合を振り返ったが「ボクサーである以上、上を目指していきたい。高すぎるハードルを課すのが好きなので」と話した。

 川島会長は「2000年にジムをつくって16年目でやっと王者が出てくれた」と感激の面持ちだった。今後については「まず、右手をしっかり治療すること」と、まな弟子を気遣っていた。

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