【猪木氏の一問一答】戦ったあとに友情

沈痛な面持ちで死去したモハメド・アリ氏の思い出を語るアントニオ猪木
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 ボクシング元世界ヘビー級王者のモハメド・アリ氏が3日に米国の病院で74歳で死去したことを受け、40年前に世紀の一戦を行った元プロレスラーのアントニオ猪木氏(73)が4日、都内で会見を行った。一問一答は以下の通り。

  ◇  ◇

 (冒頭で)

 「元気があれば旅立ちもできると言うことで、アリ氏のご冥福をお祈りしたい。異種格闘技で戦ったあとの友情が芽生えて、付き合いはボクシングの選手よりあったのではないか。最後に連絡を取ったのが、2010年に私がプロレス殿堂入りしたとき。パーキンソン病を患ってから長い期間、病と闘ってきた。ちょうど格闘技40周年と言うことで、今月26日が世界格闘技の日に制定されて、できれば本人に来てもらいたかった。代わりに家族をご招待していた。時間が過ぎてこの試合が評価され、また私自身もあの試合は素直に本当によかった。戦い抜いたリングのいい友としてご冥福をお祈りしたい」

 -アリ氏の人柄は。

 「ちゃめっ気があって、どこまでが冗談で、どこまでが本当かわからない。人柄で言えばプライドが非常に高い。ある意味で、私も似ている部分がある。人生は戦いということで、彼はボクシングだけでなく、社会的な問題提起も含めて(戦った)。モハメド・アリという名前。私も90年かな?湾岸戦争の時にモスクに案内されて、イスラム教に入りませんか、と。名前は何にしましょうということで、フセインは悪役になってますけど愛される名前だというので、『モハメド・フセイン』というイスラム名をもらった」

 -テーマ曲「アリ・ボンバイエ」を寄贈されたときの思い出。

 「いきさつはわかりませんが、(日本では)猪木のテーマになって一般的になった。一つの和解の証としてもらった」

 -世紀の一戦は賛否があった。

 「終わった後は大変な酷評で、茶番劇とかいろいろ言われた。時間が経って評価された。それからK-1もできたり、異種格闘技とか世界中にもともとあったものだと思うが、戦ってギャラがもらえるようになった。海外から選手が来ると、『猪木のおかげで俺たちが飯を食えるようになった』と言ってくれる。戦いを通じて自分が学んだことは、その時に評価されるだけでなく、一つの信念は時間が経って認めてもらえることもあるなと」

 -アリ氏へのメッセージ

 「とにかく元気に旅立ってくれれば。あまりはみ出した話しをしたくないが、日本も高齢化で自分も、いつお迎えが来てもいいかなと。アリは1年先輩なので、見送られるよりは見送りたいなと思っていた。それが現実になってしまった」

 -死去の一報を聞いたとき。

 「だいぶ前から体調が悪いと聞いてた。テレビ局は早くて、追悼番組を製作しているので米国に来てくれと。できれば6月26日まで、相当悪いと聞いてたんで、葬儀があれば参列したい。とにかくお疲れさまでしたという感じ」

 -アリさんと直接交わした言葉で印象的なもの。

 「戦った後に、彼がベロニカさんと結婚してロスに引っ越した。結婚式に招待されて、ホテルで彼が隠れてていきなり後ろから首を絞めていた。そういう冗談が好きで、ちゃめっ気がある。その時に『お互いあれでよかったよな』って彼が言って、『俺もそう思う』と。俺は何が何でも倒してやると思っていて、(試合直後は)彼はお遊びだと言っていたが、あれは照れ隠しだったんだと思う。後から素直にお互いを認め合って、『あんな怖い試合はなかったよ』と彼が言ってくれて。俺自身も大変な緊張と興奮、怖さもあった」

 -アリ氏はどんな存在。

 「出会うべくして出会ったというか、師匠の力道山もそうだが、偶然なのか必然なのかでいうと必然。現役のチャンピオンで、そういう試合が実現したと言うことが、俺自身ビックリする。当時の新聞では『売名行為』だとか言われたけど、色んな事情があってお互いの節目になるものがあって、必然的に実現した。アリのおかげで自分の名前が世界に出て、政治の場でも外交をやってますが、『アリとやった』と説明すると、相手が背筋を伸ばす。(そのおかげで)人とは違う外交ができる」

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