どうでもいい?J第1S優勝の意味
今季からJ1で採用されている2ステージ制のうち、第1ステージが佳境を迎えている。浦和が残り2試合のうち、どちらかを引き分け以上で終えるか、数字上優勝の可能性を残すG大阪が残り3試合で3連勝できなければ浦和の第1ステージ優勝が決まる。だが、浦和の選手たちは、第1ステージ優勝をどの程度重要なものとしてとらえているのだろうか。
まず、7日の清水戦で決勝ゴールを決めたFW興梠慎三。ヒーローインタビューで「年間優勝を取りたいので、ファースト(第1ステージ)とかどうでもいいです」とあっけらかんと宣言してしまった。文字通り、通過点にすぎないというわけだ。
前節まで4試合連続ゴールと浦和移籍でブレークしたMF武藤雄樹も「優勝が近づいてるぞ!っていう感じはないです」と冷静に受け止めている。ペトロビッチ監督は「第1ステージというくくりならば、ほぼほぼ手中に収められたかなと思っている」と実質的な勝利宣言も出したが、これも年間勝ち点1位を最終的な目標としているからこそ出た発言だろう。
ベテランのMF鈴木啓太は、もう少し具体的にステージ優勝のとらえ方について語ってくれた。
「ファーストステージ優勝!だけど…みたいな。前までの大会の方式が違うので。(以前は)チャンピオンシップがあって、セカンド(第2ステージ)も優勝すれば完全制覇なんだけど、今回はそれでも(チャンピオンシップが)あるわけじゃないですか。優勝すればその次の試合が消化試合的なイメージがあったと思いますけど、今はないので」
Jリーグは96年以外は93年から04年まで2ステージで行われた。このうち97年以降は2ステージ両方で同じクラブが優勝した場合は「完全優勝」となり、02年の磐田と03年の横浜Mが完全優勝でリーグタイトルを手にした。
今年から行われるチャンピオンシップはルールが従来のものと大きく異なる。
まず、各ステージの1位チームが年間勝ち点2位、3位チームと1回戦を行い、勝者が準決勝を行う。その勝者と「年間勝ち点1位」のクラブが対戦し、勝者が今年のJ1王者となる。
もしも、年間勝ち点1位と各ステージの優勝クラブが同じだった場合は年間勝ち点1位として決勝にシード。年間2位、3位と各ステージ優勝が同一だった場合はステージ優勝クラブが準決勝にシードされる(2位、3位がそれぞれ第1、第2ステージで優勝していた場合は年間勝ち点上位のチームがシード)。
浦和イレブンの共通した目標は「年間勝ち点1位を目指す」こと。そのため、仮に次節20日の神戸戦で第1ステージ優勝が決まったとしても、27日に行われる新潟との最終節は“勝ちにいく試合”となる。
04年に第2ステージ優勝、06年には1ステージ制の優勝を経験している鈴木は、今年の第1ステージ優勝について、「タイトルはタイトルだと思いますけど、年間で勝ち点を多く取っているチームがスーパーシード(チャンピオンシップの決勝から出場)ということなので、そこを目指さないといけない」と断言した。
また、個人的な意見として「年間通してやらなきゃいけないと思うし、それこそがリーグ戦というものだとは思っていて。小さな声かもしれないけど、やっている選手は言っていかないといけないんじゃないかなとは思います」と1ステージ制復活を望んでいた。