Jリーグ2ステージ制の難しさと可能性
6月20日、今季から導入されたJリーグ「2ステージ+チャンピオンシップ制」の第1ステージ覇者が浦和レッズに決まった。しかし、そんな喜ばしい舞台の表彰式に村井満チェアマンが立ったとき、会場には「2ステージ制」に反対するブーイングが響いた。
今年1月に発行された「Jリーグニュース」の中で、村井チェアマンは「タイトル争いの興奮や緊張感を味わう場を提供する」こと、そして「よりアグレッシブに戦う姿勢」を期待するとしている。開幕前から2ステージ制実施に疑問の声があったのは事実。それでも今季、その改革は推し進められた。
3月に開幕を迎え、盛り上がってきた6月に優勝決定。それに戸惑うのは当然、声を上げたサポーターだけではない。選手も“半期決戦”の難しさを口にした。早くから「第1ステージの優勝より、年間優勝を狙っている」と言い切る選手も1人や2人ではなかったし、「レギュレーションは無視して考えている」と話す選手すらいた。
“難しさ”を加速させているのが「チャンピオンシップ」の仕組みだ。以前導入されていた前期王者vs後期王者という形とは大きく異なる。チャンピオンシップには、(1)年間勝ち点1位、(2)第1ステージ1位、(3)第2ステージ1位、(4)年間勝ち点2位、(5)年間勝ち点3位と、最大5チームが出場できる上、最も有利なシード枠に入れるのは「年間勝ち点1位」なのだ。となると、第1ステージ優勝争いのまっただ中にもかかわらず「年間優勝を目指す」と選手が言うのも無理はない。
それでも、チェアマンが強調した「タイトル争いの興奮や緊張感を味わう場を提供する」ことや「よりアグレッシブに戦う姿勢」は随所に見られていると感じる。前半戦で下位に沈んだチームが“優勝”を狙える可能性があるのは、盛り上がりにつながる可能性も大いにあるし、G大阪や柏といったACL勢にとっては、今後の成績次第では「3位以内に」というのが現実的な目標となるのかもしれない。
ただひとつ、はっきりしているのは、今季の戦いは「2ステージ+チャンピオンシップ制」で決まるということ。チャンピオンシップが史上最大の盛り上がりを見せる可能性ももちろんある。まだ半分。この変革の1年を終えたとき、「これも面白かったよね」という結果になるのか、「やはり盛り上がらない」となるのか…。メリットもデメリットも、しっかりと伝え続けていきたい。
(デイリースポーツ・國島紗希)