鈴木啓太 退団セレモニーで引退発表
「J1、浦和5-2神戸」(22日、埼玉スタジアム)
今季限りでの退団が決まっていた浦和の元日本代表MF鈴木啓太(34)が試合後に行われたセレモニーで現役引退を発表した。「浦和の男で終わります」と引退を宣言。場内を一周し、チームメートからは背番号にちなみ13回胴上げされた。
感極まりながら「この真っ赤に染まるスタジアムを離れる時が来てしまったことはとても寂しいです。でもこの場所でリーグチャンピオンをとり、シャーレを掲げ、アジアのチャンピオンをつかみ、人生で最も情熱にあふれた時間をみんなと過ごすことができて、最高に幸せでした」とクラブとの別れを惜しんだ鈴木は「ここで皆さんに報告があります」と切り出した。
「私、鈴木啓太は今シーズンをもって引退することを決断しました」
スタジアムのサポーターは息をのみ、スタンドからどよめきが起きた。鈴木は「どうしても自分の言葉でファン、サポーター、仲間、クラブスタッフ、浦和レッズに関わってくださっている皆さま、僕の愛する人たちに直接伝えたくて、この場所で発表することにしました」と続けた。
00年のルーキーイヤーから浦和ひと筋で16年間プレーしていたが、10月20日に、クラブと話し合った末に今季限りで浦和を退団することを決めたとブログなどで公表。昨季終盤から不整脈が発症し、体調を万全に保つことが難しくなったことが一因となった。鈴木自身も「今のままの自分では力になれない」ことをクラブや監督と話し合ってきた。
Jリーグクラブからオファーがあることも明かしていたが「サッカー少年がプロサッカー選手として成功することを夢見て静岡から出てきましたが、いつからか『お前は浦和の男だ』、『俺たちの鈴木啓太』と認めてもらえたことが本当にうれしかったです。誇らしかったです」と“浦和の鈴木”として、スパイクを脱ぐことを決断した。
鈴木はJ1リーグ戦通算379試合10得点。今季は4試合の出場にとどまっており、最終節もベンチには入ったが出場はなかった。オシム監督が指揮していた06年に日本代表初出場を果たし、国際Aマッチ28試合に出場した。06年、07年には2年連続でJリーグのベストイレブンにも選ばれ、06年リーグ優勝、07年アジアチャンピオンズリーグ優勝に大きく貢献した。
日本屈指のボランチとして、特に守備面で献身的なプレーを見せた。12年、浦和にミハイロ・ペトロビッチ監督が就任してからは、守備から前線へスイッチを入れるパスを出す役割も担った。