金本新監督が就任会見「結束して戦う」
阪神の来季監督に決まった金本知憲氏(47)=デイリースポーツ評論家=が19日、大阪市内のホテルで就任会見を行った。グレーのストライプのスーツに、黒とグレーのチェックのネクタイで会見に臨んだ金本氏は、常勝軍団復活への意気込みを語った。
緊張した面持ちで話し出した金本氏は、しだいに熱を帯びた口調になり「不安と希望がかなり入り交じっています。しかし今は希望といいますか、やってやろうという強い気持ちがあります。1軍も2軍もフロントも全部が一つになって結束して、結束力のある戦う集団、戦うチームを作っていきたいと思います」と話した。
理想の監督について聞かれると「勝たせる監督です」と即答。「期間はかかるかもしれないですけど、時間に甘えないように、できるだけ早く結果が出るように。勝ちながら再建できるように、そこを目指していきます」と、勝利にこだわりながらチームを立て直す方針を口にした。
「勝ちながら再建」-。金本氏は、その具体的な方法として「練習と意識」を挙げた。「選手の意識を変えて練習をする。そこだけじゃないですかね。ちゃんと考えて、必要性のある、足りないところをきちんと補える、自分のいいところをちゃんと伸ばすことができる、そういう練習をすべきだと思います」と力説した。
会見は午後4時半からスタート。会見場の受け付け開始は3時半の予定だったが、早くから多数の報道陣が詰めかけたため、約15分早まった。会見には坂井信也オーナー、南信男球団社長、四藤慶一郎球団専務が同席。テレビカメラ20台、スチールカメラ30台、報道陣約250人が詰めかけるなど、注目度の高さをうかがわせた。
球団側とは10月1日に初交渉。当初は「阪神の監督など、指導者経験のない僕には荷が重過ぎます」と固辞の姿勢を見せていた。しかし交渉役を務めた南社長から「このチームを変えたい。覚悟を決めて引き受けてくれませんか」と熱く口説かれ、計3回の交渉を重ねる中で気持ちは徐々に変化。17日夕方、電話で南社長に受諾の意思を伝えた。
阪神は05年を最後に優勝から遠ざかっている。優勝争いには加わりながら、毎年のように夏場から秋にかけて失速。猛虎復活へ抜本的改革が求められる中、野球理論、人望、実行力などあらゆる面で指揮官としてふさわしい存在として、金本氏に白羽の矢が立った。
広島県出身の金本氏は、広陵高-東北福祉大を経て1991年度ドラフト4位で広島に入団。筋力トレーニングにも積極的に取り組むなど、猛練習を重ねて外野の1軍レギュラーに定着した。
2000年には3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーを達成。03年に阪神へFA移籍すると、星野監督のもと3番打者としてチームの18年ぶりリーグ制覇に貢献した。04年からは4番に座り、113打点でタイトルを獲得。2年ぶりの優勝となった05年も40本塁打、125打点で打線をけん引した。
2008年には通算2000本安打を達成して名球会入りした。年齢を重ねても徹底的に体を鍛え続け、1492試合連続フルイニング出場の世界記録を達成。「鉄人」と呼ばれた。
12年限りで現役を引退。13年からは評論家として阪神を見続けてきた。03年、そのバット、存在感で虎に変革をもたらした金本氏が、今度はタクトを振るい、戦う集団へとよみがえらせる。