“革命戦士”中矢は「銀」猛追及ばず…

 「ロンドン五輪・柔道男子73キロ級・決勝」(30日、エクセル)

 中矢力(23)=ALSOK=は決勝でマンスール・イサエフ(ロシア)に敗れ、銀メダルとなった。この階級が71キロ級だった96年アトランタ五輪の中村兼三以来となる金メダル獲得はならなかった。

 中矢は決勝でロシアのイサエフに判定負け。猛追も及ばなかった。しばらく畳で大の字になると立ち上がり、悔しそうに汗をぬぐった。

 初戦の2回戦はマクスウェル(バルバドス)に崩れ上四方固め、3回戦はパレラシビリ(イスラエル)に縦四方固めで連続一本勝ち。不安視された右ひじの故障を克服し、寝技で制した。準々決勝は北京五輪銅メダリストのボキエフ(タジキスタン)から2回の指導で有効ポイントを奪って優勢勝ち。準決勝もエルモント(オランダ)に延長戦で判定勝ちし、銀メダル以上を確定させた。

 決勝では、残り2分を切り、中矢のすくい投げに対し、イサエフが返し技。一度は中矢の有効とされたが、逆にイサエフの有効と覆った。中矢は痛めた右腕を取られて押さえ込まれても耐え、最後まであきらめずに反撃したが、逃げ切られた。だが健闘が光った。

 「力(りき)」という名前は、プロレスラー・長州力に由来する。中矢の誕生は90年7月。2年前の7月、長州はアントニオ猪木から悲願の初フォールを奪い、新日本マットのエースとなり、現場監督としても力を発揮した。当時、新日本ファンだった父・哲郎さんが息子に「力」と名づけたのも「強い男」の象徴として必然だった。

 愛媛・松山が生んだ“柔道界の革命戦士”は「自分の柔道をする」と大舞台に臨んだ。長州はレスリングでミュンヘン五輪に出場。その系譜にある中矢も初五輪で、負の連鎖が続いた日本柔道にカツを入れた。表彰台で銀色のメダルを胸に、中矢は控えめに笑った。

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